パリで私たちの「バベルの塔」を


かつて、全人類が一つになって、実現を目指した一大事業がありました。

これは天に届く塔を造り、神の世界を覗いてやろう、という不遜な計画で、当然ながら怒った神様により中止に追い込まれ、塔は完成を見ませんでした。

神はその時、罰として、人類が二度と団結して事を起こさぬよう、人々の使っていた言葉をさまざまに変え、互いの意志を通じなくした、といわれています。

今、フランスのパリでは、気候変動をめぐる重要な国連の会議「COP21」が開かれています。

温暖化による脅威から未来を守る、そのために世界が協力し、知恵を出し合うべき会合ですが、こうした一連の国際交渉は常に、各国の利害と主張の相違に阻まれてきました。

その相違とは、とりもなおさず、異なる言語に基づいた、さまざまな文化や考え方、社会的な意識の間の衝突に他なりません。

環境問題という世界共通の大問題を前にした時、かつて下された「罰」の効果が、大きな壁になっているということです。

今、人類はパリで、その壁を乗り越え、新たな「塔」を創ろうとしています。

神を怒らせるためなどではない、それは、私たちの子どもたちのため、そして多くの生命が息づくこの星の未来のための創造です。

COP21は、その塔の礎となり、新しい物語の始まりとなるものです。

今週、会議場では各国の閣僚を迎えて、温暖化防止に向けた世界の約束「パリ合意」を目指す交渉が始まりました。

きわめて高度で複雑な政治的交渉になる、と言われています。

ですが、目指すべきものは、ただ一つ、そして、明らかです。

COP21がどのような結末を迎えるのか。世界のリーダーたちの意志を、問い続けたいと思います。(広報室 三間)

「気候のノアの方舟」と書かれている

「方舟」の動物たち。再生プラスチックで作られている。COPの会場近くでは、温暖化の被害を受けるのに、交渉に加われない動物たちを、こうした形で参加させている。

自然保護室 次長
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。

虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。

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