「クズかご」の編み方について


先日の日曜日、秋の山歩きに行った折に、同行した友人から、クズのつるを使って籠(かご)を編む方法を習いました。

里山を歩きながら採って来たつるを、干したりせずにそのまま使います(一旦、干してから水につけてやわらかくして編む方法もあるそうです)。

30分ほどで、小さな手さげ籠ができあがりました。

クズは北海道から徳之島まで普通に見られる、つる性の植物です。

8月から9月にかけて咲く紫色の花は「秋の七草」の一つ。

丈夫なつるは、さまざまな大きさや形の籠に編んで、生活に使われてきました。

また、根からは、くずきりやくずもちの原料となる葛粉のほか、漢方薬の葛根湯も作られます。

ただ、昨今では、つるで籠を編むこともなくなり、葛粉も、じゃがいもやさつまいものでんぷんや、コーンスターチで代用される場合が増えるなるなど、日本の暮らしから遠ざかっているのが実情です。

そのため、定期的に刈られなくなったクズは、持ち前の繁殖力の強さで旺盛に繁茂し、ついには迷惑がられる存在に。海外では「侵略的外来種」にまで指定されています。

昔どおりとは言わないまでも、もう少し、クズの利用が見直されたらいいのに、と思う反面、クズが再び、人の暮らしの中で循環していくようにするのは、相当に難しいこともわかっています。

それでも、ちょっと教えてもらえばすぐできてしまうほど簡単な籠を編みながら、生活の知恵と、手仕事が生み出す味わい、そして、花を楽しみ、根を味わい、つるを収穫する喜びを失うのは、やはりもったいなさすぎる、と思うのでした。(広報室:佐久間)

 

 

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マーケティング室(会報担当)
佐久間 浩子

WWFではずっと「伝える」ことに携わってきました。今は会報を担当しています。

なにごとも決めつけてはいけない。知ったつもりになるな。複雑なものを、複雑なまま受け止める覚悟を持て。想像力を磨き、ヒトの尺度を超える努力をせよーー動物や植物に教えられたことを胸に、人と自然の問題に向き合い続けたいと思います。

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