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いろいろなステークホルダーと真摯に対話 エンゲージメントがパリ協定時代のカギ[みずほフィナンシャルグループ 後編]


2020年の(株)みずほフィナンシャルグループの株主総会において、気候関連リスクおよびパリ協定(地球温暖化対策の国際的枠組み)の目標に整合したファイナンスを行なうための計画開示について定款への規定を求める、NGOからの株主提案が出されました。結果として議決で否決となりましたが、約3割の株主がこの提案を支持し、大きな話題となりました。

同社は、経営の基本方針の中に「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」を持ち、気候変動対応のみならず、木材や紙・パーム油などの生物多様性の取組においても明確な持続可能性の方針を掲げています。2018年に立ち上がったという戦略企画部サステナビリティ推進室に取材に伺いました。

そこで非常に印象的だったのは、様々なステークホルダーと真摯に対話する姿勢です。NGOはもちろんのこと、投資家からも多くの意見が届けられ、顧客や監督省庁とのディスカッションにおけるプレッシャーもある中、それらは同社に対する関心事項であり、期待でもあると捉え、情報開示を拡充し、TCFD*レポートも新しく出すなど、コミュニケーションを取ってきた、という姿勢に非常に感銘を受けました。

また顧客とのエンゲージメントも非常に重視した経営をしているとのこと。顧客の脱炭素化などのサステナビリティを支援するには、顧客に説明できるだけの高い専門性が必要となります。そこで現場の営業担当者に対して、サステナビリティの能力向上を図る教育も継続的に実施されているとのこと。SDGsやパリ協定時代には、どの業界においても人材の再教育が欠かせません。

さらに同社では、専門性の追求とやりたいことを磨けるようにと、社内兼業制度があるそうです。その中で若い社員に最も人気があるのが、ソーシャルボンドを手掛けるSDGsビジネスデスクということ!理由をお聞きしたら「社会の役に立ちたいという思いが強いのではないか」とのことでした。

まさにSDGsの17番「目標のために協力するパートナーシップ」。様々なステークホルダーとのエンゲージメントがパリ協定時代のカギだなと改めて実感した取材でした。

詳しくは記事をぜひどうぞ!

*TCFD=Task Force on Climate–related Financial Disclosures、気候関連財務情報開示タスクフォース

取材を終えて、(株)みずほフィナンシャルグループの皆さんと
©WWFジャパン

取材を終えて、(株)みずほフィナンシャルグループの皆さんと

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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