アサリも頑張っています!福島・相馬の海から


自然保護室の前川です。
3月25~26日の日程で、東日本大震災の被災地、福島県相馬市の松川浦で、2回目となる底生動物調査を行ないました。

調査を実施したのは東北大学の鈴木孝男助教のグループです。
東京ではだいぶ日差しも春らしくなりましたが、被災地ではまだまだ厳しい寒さが続いており、この日の水温は5度ほど。調査のために手を水につけていると、冷たさで手の感覚がなくなります。

震災から一年が過ぎ、環境や生物も少しずつですが復活の兆しが見えてきました。

前回の9月の調査時には、あまり確認できず、被害が大きかったと推測されたた二枚貝類も比較的多く確認できました。

ソトオリガイ:白く薄い貝殻から水管(貝の口)がにょろっと出ているのが特長です。

オキシジミ:シジミを二回りくらい大きくしたような貝で、全体に厚みがあります。良い出汁がとれるそうです。

アサリ:青のり(ヒトエグサ)と並んで松川浦を代表する水産物です。写真を参照のこと。右は昨年生まれ、左は震災以前に生まれたアサリです。良く見ると左のアサリには、模様が欠けた部分があるのが分かります。貝にも成長速度の違いから生じる年輪があることが知られていますが、この白い帯は震災によるストレスから生じたと考えられています。

松川浦は震災の前は、東北沿岸の汽水湖の中でも、特に生物多様性が豊かで、相馬の海を育んできた自然環境として知られていました。

元の自然環境に戻るにはより長い時間がかかると予想されますが、震災後の変化と回復状況を適切に評価し、地域で継続的に管理していく仕組み作りを支援していきたいと考えています。

 

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ベントス(底生生物)調査

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上から、ソトオリガイ、オキシジミ、アサリ

 

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自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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