厳しい温暖化交渉の中でもポジティブな精神を失わない交渉官たち


温暖化・エネルギー担当の山岸です。

10月20日(月)から、ドイツ・ボンで国連気候変動会議が開催されてます。1週間の会期で土曜日に終了する予定ですが、会議は(予想通りに!?)難航しています。

今回の会議は、12月に予定されているペルー・リマでのCOP20・COP/MOP10(国連気候変動枠組条約第20回締約国会議・京都議定書第10回締約国会議)の準備会合に当たります。

国連の会議といってもなかなか想像しにくいかと思いますが、基本、大きな会議室で、各国からの代表が意見を言い合う中で、徐々に合意文書をまとめていく、というスタイルを取ります。

各代表団とも、国としての意見を代表して言わなければならないので、最初の発言は、「我が国の意見はこうだ!」という厳しいラインをとってきます。お互いの意見を聞いて、妥協点を探る本格的な「交渉」が始まるのはそれぞれの意見が1巡したあとの2巡目くらいからです。

それでも、国を代表してきている交渉官は、そう簡単に立場を譲れないので、何度も同じような意見をお互いに言い合うこともしばしば。聞いていると、時々、正直、時間の無駄じゃないかと思うような場面に出くわすこともあります。

そんな中でも、ポジティブな精神を失わない交渉官たちもいて、「ほら、私たちはこういう点とこういう点については合意ができている。意見はまとまってきているじゃないか。」というような口調でしきりに前進を強調します。厳しく、長い交渉にあってそうした精神を失わないタフさみたいなものには、感動すら覚える時もあります。

今回の会議の中でも、個人的にすごいなと気がついたのは、チリの交渉官とコスタリカの交渉官でした。それぞれ、違う論点で違う場面ではあったのですが、上のような発言で前に進めようという意思を明確にしていました。

これらの国々は、AILACという一部の中南米諸国からなるグループに属しており、最近は、このグループの「ポジティブ精神」が目立ちます。

残る交渉日も今日を入れてあと2日。12月のリマでの会合にむけて、足掛かりとなるような形で会議を終えることができるのか、しっかり見守り、働きかけを行なっていきたいと思います。

この記事をシェアする

自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP