南アフリカより!サイの密猟撲滅に向けて


トラフィックの松本です。いま、南アフリカのクルーガー国立公園に来ています。

ここは、世界で最も多くのサイが生きる南アフリカ共和国の中でも、特に重要なエリア。WWF南アフリカもその運営を支援しています。

しかし近年、南アフリカでは高値で取引される角を狙ったサイの密猟が激化。2014年には1,215頭がその犠牲となりました。

ここクルーガーで今開かれている会合には、WWFとトラフィックから、アフリカ各地で密猟防止に携わるスタッフと、世界各地で野生生物の違法取引を監視するスタッフ、総勢50名近くが会しています。

クルーガー国立公園のシロサイ。ここでは、密猟者を追跡する捜査犬を導入し、WWFも地域住民の参加を得た密猟防止を展開するなど、さまざまな活動を今も続けています。

密猟が後を絶たない背景には、違法取引(密輸)で莫大な利益を得ている、国際的な犯罪ネットワークの存在があります。

レクチャーをしてくれた国立公園のレンジャーの話では、こうした犯罪組織が、南アフリカと国境を接するモザンビークに住む貧しい人々を雇い、国立公園でサイを密猟させているそうです。

そうした人たちは、三人一組となり、一人は銃、一人は斧、一人は食料を担いで、国境を越えて侵入し、徒歩でサイを探します。

南アフリカのクルーガー国立公園。ここで実現した、ツーリズムを軸とする持続可能な管理は、野生生物保護の代表的な成功例です。

地域の生活の貧しさ。
その現実が、野生動物をめぐる巨大な犯罪に利用されているのです。

「野生生物の密猟は、人間の生活の問題だ」とレンジャーは話します。

そして、「地域住民が野生生物を守ることに価値を見出し、持続的に利益を得られるような仕組みがなければ、保護が成功することはない」と断言していました。

押し寄せる密猟の波に対し、時間も労力もあまりにも足りません。

早朝の国立公園へ。レンジャーからは、もし運よくサイを見ることができても、決してSNSなどで場所を公開することの無いよう強く言われています...。

それでも、ここクルーガーでは、最前線で頑張るレンジャーたちの声が、毎朝、夜明け前から響き渡っています。

密猟と戦うこうした活動の現場を、国境を越えて支えながら、違法取引を無くしてゆくために、私たちは力を結集してゆかなければと、あらためて感じています。

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野生生物グループ副グループ長・TRAFFICジャパンオフィス代表
北出 智美

修士(生物学、生物多様性マネジメント)
国際的な自然保護に携わることを目指し、カナダのブリティッシュコロンビア大学で生物学を専攻。遺伝子レベルの進化と多様性に魅せられアルバータ大学でシカの遺伝子の研究を行なった。国際NGOでの就職を目指しオックスフォード大学で生物多様性マネジメントを履修し、帰国後外務省任期付職員として環境条約に携わる部署に勤務した後、2013年にWWFジャパンに入局。WWFでは野生生物取引に特化した活動を行うTRAFFICで活動し、2020年より現職(2018年からTRAFFICジャパンオフィスの代表も務める)。

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環境保全団体です。

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