サンゴ礁への影響懸念、白保大規模リゾートホテル開発計画の不許可求める


記者発表資料 2017年12月6日

WWFジャパン、沖縄県知事宛に意見書を提出

1)沖縄県石垣市白保のリゾートホテル開発計画は、サンゴ礁保全の観点から容認できない

2)石垣市は開発計画に「不同意」、地元白保公民館の臨時総会でも「不同意」の決議

3)最終決定機関である沖縄県は、12月中に審議を終了する見込み。真摯な対応を求める

2017年12月6日、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区 会長:德川恒孝 以下、WWFジャパン)は、沖縄県石垣市白保で建設が計画されている大規模リゾートホテルの開発許可申請を、沖縄県が許可しないよう求める沖縄県知事宛の意見書を、沖縄県に手渡しで提出しました。

この開発計画地の目の前に広がる白保の海は、世界最大級のアオサンゴの群集があり、また環境省のレッドリスト掲載種(絶滅危惧種)であり、国際的にも絶滅が懸念されているアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの三種類のウミガメの産卵が確認されている世界的にも貴重な海岸です。

このように、ホテルの計画地は、様々な貴重な生き物が棲息し、そして利用しているサンゴ礁と海岸に接する場所であり、開発による環境への影響が懸念されます。

この開発計画は、人口約1600人の白保に、年間10万人宿泊規模のリゾートホテルを建設するもので、那覇市に本社を置く(株)日建ハウジングの100%出資子会社である(株)石垣島白保ホテル&リゾーツが11月、石垣市に開発許可の申請をしていたものです。石垣市は本開発計画について、条例に基づく審査の結果「不同意」と判断し、開発許可の最終審査・決定機関である沖縄県へ推達しており、沖縄県は12月中にも審議を終了する見込みです。尚、11月24日には地域住民による臨時総会が白保公民館で開催され、ほぼ全会一致で本開発計画への「不同意」が決議されています。

WWFは本開発計画の問題点として、ホテルの排水によるサンゴ礁生態系への影響、光害(過剰な光)によるウミガメの産卵への影響、観光利用の急増によるサンゴ礁域の保全利用ルール遵守への懸念等を指摘した上で、事業者の対策は不十分であり、本開発計画は容認できないとする意見を表明。沖縄県知事に対し、以下の要請を行いました。

  1. 沖縄県は、事業者が事業における計画地周辺を含めた自然環境への悪影響を科学的に把握・公開し、実効性の高い保全策が示されることなしに開発許可申請を許可しないこと
  2. 沖縄県は、本事業に強い関心を持つ地域住民をはじめとした複数の関係者と事業者が多様な視点で検討・検証し、複数の関係者が本事業に合意することなしに開発許可申請を許可しないこと

南西諸島が世界自然遺産登録を目指す中で、近年急増傾向にある観光開発において、その観光資源である貴重な自然環境を保全し、持続可能に利用し続けるための配慮が、強く求められています。

意見書

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