行徳野鳥観察舎存続に関する要望書


要望書 2016年1月15日

千葉県知事  森田健作殿

公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン会長 徳川恒孝

拝啓 時下益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。
日頃、自然・環境の保全にご理解とご尽力を賜り、誠にありがとうございます。

さて、行徳野鳥観察舎が、2015年12月28日をもって、耐震診断の評価基準を満たしていないことを理由に惜しまれながらも休館となりました。一方、平成27年度第2回千葉県行政改革審議会においては、当施設は廃止の方向で検討が進められていると聞いておりますが、以下の理由により、当施設の存続と運営再開を強く要望いたします。

1.生物多様性の保全と管理を担う中心的役割を果たす

生物多様性基本法(平成20年6月6日法律第58号)では、基本原則に「生物の多様性の保全は、健全で恵み豊かな自然の維持が生物の多様性の保全に欠くことのできないものであることにかんがみ、野生生物の種の保存等が図られるとともに、多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて保全されることを旨として行われなければならない。」とあります(参考資料)。この基本原則は、地方公共団体の責務として明記されてあり、千葉県においても基本法を適切に順守すべきと考えます。

行徳鳥獣保護区は、250種以上の野鳥が確認 されており、うちIUCN(国際自然保護連合)指定の絶滅危惧種8種、環境省指定の絶滅危惧種29種、千葉県レッドデータブック記載種においては103種 (参考資料)となっており、生物多様性の保全上重要な湿地です。また、鳥類以外の生物についても、多くの絶滅の危険性がある動植物が確認されています。

今日、特に人口密集地域に位置する自然環境は、水質悪化に加え、外来種による生態系のかく乱や気候変動の影響などにより、常に脅威にさらされ、変化を強いられています。そのため生物多様性の保全と生態系サービスの享受のためには、単に保護区に指定し、現状を維持するだけではなく、自然の変化のモニタリングと状況に応じた対策が求められます。変化の要因を探り、実効的な対策を継続的に実施していくためには、日頃からの多くの人の目とデータの収集が重要です。

2.野生生物や自然と身近にふれあい学ぶ環境教育の拠点である

行徳野鳥観察舎は1976年のプレハブ施設開設以降、39年におよぶ長期にわたり、鳥類をはじめとする自然観察の場を多くの市民に提供してきました。これは我が国の野鳥観察施設として、非常に長い歴史を持ちます。都心に近接しながら、野鳥をはじめ豊かな自然についてふれあいそして学ぶことができる貴重な場となっており、年間100回を越える観察会や講座が開催され、年間1万人を超える来館者が訪れています 。『生物多様性ちば県戦略』においても、目標を達成するための4つの取り組みのひとつとして、「研究・教育の取組」があげられていますが、行徳野鳥観察舎はその取り組み拠点となりうる場所です。

以上のように、行徳野鳥観察舎は人と自然との接点の提供を通じて、生物多様性の適切な保全と管理に貢献し、また広く生物多様性保全の重要性を周知させる拠点となります。経済的合理性だけで存続の有無を検討するのではなく、長期的かつ多様な視点から利活用を検討し、耐震補強などを高じた上で、当該施設を存続させることを強く要望いたします。

以上

本件に関する連絡先:自然保護室 前川聡(TEL:03-3769-1713)

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