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2019年WCPFC北小委員会会合閉幕 太平洋クロマグロの漁獲量増枠は時期尚早

この記事のポイント
アメリカのポートランドで開催されていた、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の北小委員会閉幕が2019年9月7日、閉幕しました。この会議では、2018年と同様、漁獲可能な量(漁獲枠)の引き上げが日本から提案されましたが、一部の参加国の反対意見により提案は棄却されました。WWFは、依然として資源評価結果の不確実性があることや、資源状況が未だ安心できる水準に無い状況では漁獲枠の引き上げを行なうべきではないと考えています。

2019年も増枠提案。太平洋クロマグロの漁獲枠をめぐって

太平洋の海洋生態系の頂点に立つ太平洋クロマグロ(本まぐろ)。
2019年9月4日から7日まで、その資源管理について話し合う国際会議「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」第15回北小委員会が、アメリカ合衆国のポートランドで開催されました。

この会議では、2018年と同様、日本から、現状で設定されている漁獲量を、増枠するよう求める、管理措置の改定が提案されました。

これは、北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)の報告書にある、近年の太平洋クロマグロの好調な加入量により資源回復計画の達成率が向上した、という調査結果をうけた提案です。

しかし、加入量に関して好調な報告がISCよりされてはいるものの、依然として資源量は初期資源(漁業が開始される以前の推定資源量)の3.3%。太平洋海域ではまだ、乱獲に起因したクロマグロ資源の深刻な枯渇状態が続いています。

結果、今回の会議では「時期尚早」という判断から提案は棄却されました。

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求められる「予防原則」に基づいた漁業管理の在り方

WWFは2017年から、この「増枠」の問題について、「2024年までに歴史的中間値まで回復させる」というWCPFCの目標を達成する前に、漁獲上限を増大させることは、科学的な議論が十分されていないという観点から、資源回復措置としては受け入れられないと主張してきました。

実際、クロマグロ資源の将来的な予測については、不確実性が高いとされる2016年のクロマグロの回復データに大きく影響されることが指摘されているため、これを根拠に漁獲枠の上限の引き上げを認めることは、時期尚早といわねばなりません。

2020年には、新たな太平洋クロマグロの資源評価が行なわれることが計画されていることからも、少なくともこの結果を待つべきであると考えます。

© Brian J. Skerry / National Geographic Stock / WWF

WWFジャパン海洋水産グループサイエンス&テクノロジー担当の植松周平は今回の結果について、次のように述べています。

「近年の漁獲規制の成果により、ようやく太平洋クロマグロの資源量は回復の兆しをみせてきましたが、依然として他の魚種では見られないような深刻な枯渇状態です。

また、最低限のトレーサビリティを確保する漁獲証明制度(CDS)が未だ導入されていない現状では、IUU(違法・無報告・無規制)漁業などにより想定以上に太平洋クロマグロが漁獲されてしまっている可能性も否定しきれません。

日本は太平洋クロマグロの世界最大の漁獲国であり消費国です。予防原則に基づき、太平洋クロマグロ資源の保全に対する日本の強い貢献意思を国際社会に示すべきです。」

WWFは、漁獲上限の引き上げといった重要な意思決定は、あくまでより確かな資源評価結果に基づくべきであり、回復の見込みが薄い危機的な状況に陥る前に、各国は予防原則に基づいた決定を尊重すべきであると考え、その実現に向けた各国政府への提言を続けてゆきます。

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