カメルーン政府、密猟団対策に軍の派遣を決定


中部アフリカの国カメルーンで、同国政府は初めて、密猟団への対策のために、軍の特殊部隊を動員することを発表しました。カメルーンでは、2012年の初め、アフリカゾウの大規模な密猟が発生。今も密猟が続いています。カメルーン政府の今回の決定は、同じく密猟の嵐にさられている中部アフリカでの取り締りを、大きく前進させる力として期待されます。

カメルーン軍部隊の派遣を決定

カメルーン北部のブバ・ンジダ(Bouba N'Djida)国立公園で、アフリカゾウの大規模な密猟が発生したのは、2012年初めのことでした。

犠牲になったゾウの数は、実に300頭以上。
ここ数年、深刻化しつつあった中部アフリカでの密猟事情を決定づける事件として、国際的にも話題になりました。

このブバ・ンジダで犯行に及んだ密猟者の集団は、スーダンから中央アフリカ共和国とチャドを通り、馬で1,000 km以上移動してきたとみられています。

そして、その時と同じ密猟団が再び、もっと広範に密猟しようと、時期を早めてカメルーン国内に侵入してくることがわかりました。

これに対し、カメルーン政府は今回、軍の特殊部隊を派遣し、密猟の取り締まりに当たることを発表しました。

派遣が決まったカメルーン政府軍部隊の指揮官は、WWFに対し、次のように伝えてきました。

「2012年初頭のゾウの大規模な密猟を二度と繰り返させないよう、国境を越えて来る密猟団への対策を行ない、生物多様性の保全と自然保護を進めるのは最優先課題です。密猟団の侵入に備えて軍を配備しなければならない状況というのは極めつけですが、我々の相手は、十分に訓練され武装した傭兵のような戦闘集団です。彼らは、大量の密猟を行なうためには、地域住民にテロ行為を働くことも厭いません」。

密猟と戦う中部アフリカの国々

かつてない規模で行なわれる軍隊の緊急動員は、この事態がカメルーンにとって、解決すべき最優先任務であることの証ともいえます。

また同じく、深刻な密猟の危機に脅かされている、隣国のチャドと中央アフリカ共和国も、カメルーン政府と協力し、密猟の脅威に対する緊急対策を進めています。

中部アフリカのゾウの個体数は1995年から2007年の間で半分になったと推測され、しかも殺されるゾウの数は増え続けています。WWF中部アフリカの違法取引政策担当のバス・ヒューブレッツは、この状況について次のように語ります。

「中央アフリカ共和国の北東部では、1970年代に35,000頭以上いたゾウが、今はわずか50頭が確認されているに過ぎません。この10年間に、中央アフリカ共和国の広い範囲で、密猟者によってゾウがほぼ姿を消したのです。
また、隣国チャドのザクーマ(Zakouma)国立公園でも、アフリカゾウは2006年から90%も減少し、2011年に確認された頭数は450頭あまりでした」

こうした状況の中で、各国が連携して挑もうとしている密猟との戦いには、国際的な声援も寄せられています。

駐カメルーン米国公使は、今回のカメルーン政府の決断に対し、「国が密猟に目をつむることは、国境を越えた犯罪に手をかすことになり、更なる犯罪を招き入れ、国際社会での立場を危うくします。
いったんこのアクションが開始されれば、自然という財産を守るだけではなく、法の執行力や国境警備が強化され、犯罪の減少にもつながるでしょう」との声明を発表し、アメリカ政府として歓迎する意向を発表しました。

 

象牙の需要と密猟の対策

こうした一連の密猟対策と同時に、進めなくてはならない取り組みがあります。それは、アフリカではなく、アジアに多い象牙の消費国における市場と消費の課題解決です。

ゾウが密猟されるのはその2本の牙、象牙のために他なりません。

現在、国際的な象牙の商取引は、国際法(ワシントン条約)で禁止されています。しかし、アジア、特に中国とタイでは、近年需要が高まっていて、象牙の値段が過去最高値を記録し続けています。こうした背景が、違法な取引と密猟に拍車をかけていると考えられています。

アフリカのゾウを絶滅の危機に追いつめる背景には、この消費国であるアジアの象牙需要と、生息国であるアフリカ諸国でのまだ十分とはいえない取り締まりの実情があります。

そして密猟という行為は、ゾウという一種だけの野生生物を絶滅の危機にさらすだけでなく、微妙なバランスの上に成り立っている生態系をも破壊してしまいます。社会的には、地域のコミュニティから生活の安定を奪い、生業に害を及ぼして持続可能な発展の芽を摘んでしまいます。そして、違法行為の横行は、国の威信や政策、安全にまで、悪影響を及ぼすことにつながります。

多大な出費を伴う軍の動員は、その国にとって大きな負担です。経済的に豊かとはいえない国々が、今回のような決断に踏み切るのは、非常に大きなことと言わねばなりません。

WWFは現在、密猟が起きているアフリカの現地に対する支援を行なうとともに、国際取引の場と各国の市場において、違法行為の取り締まりを強化する活動を展開しています。

 

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