二枚貝の養殖とASC認証基準


世界の養殖生産の15%は二枚貝

二枚貝の代表であるアサリ、ムール貝、ホタテ、カキは、世界の養殖生産高の約15%を占めます。なかでも中国は世界一の生産高を誇り、世界の二枚貝養殖の80%以上のシェアを占めます。そのほかの主要な二枚貝の生産地としては、韓国、日本、チリ、アメリカ、フランス、タイ、スペイン、ニュージーランド、イタリアなどが挙げられます。

多くの魚類や甲殻類と異なり、二枚貝は天然に存在するプランクトンを餌とするため、さらなる給餌を行う必要がありません。また、これらの貝類は、沈殿物や水中の有機物を摂取することで、水質浄化の役割を果たします。二枚貝漁業が行われることで、周辺に生息する魚類その他の多様性と底質環境は影響を受けます。貝が作り出す複雑な三次元構造は、多様な脊椎・無脊椎動物のすみかとなることから、生物多様性の向上に繋がります。さらには、二枚貝養殖を行う沿岸コミュニティーは、より良い二枚貝生産を行うために、水質管理に積極的になるという副次的効果も得られます。汚水処理場や浄化槽の改良を求める施策にも繋がります。

二枚貝養殖の課題

二枚貝の養殖には様々な利点がある一方で、いくつかの課題も存在します。現在、二枚貝の養殖において環境と社会に関連する、主に六つの課題が挙げられています。

  1. 生態系への影響:環境の相互作用や群集構造の変化
  2. 遺伝子かく乱:天然個体群との遺伝子交雑、野生化
  3. バイオセキュリティ:意図的あるいは非意図的な外来種や病害虫の持ち込み
  4. 病害虫の管理:養殖施設間あるいは野外との病害虫の伝播と、その防除のための薬品の使用
  5. 養殖場の管理運営:廃棄物や薬品、廃水の処理と設備メンテナンス
  6. 地域社会との協調:養殖用地の配置と建設、風紀と公共アクセス

ASCの養殖認証の基準について

責任ある二枚貝養殖を目指すASC認証では、「ASC二枚貝基準」が策定されています。そこでは、以下の7原則の下に認証のための基準が定められています。

原則1:法令順守

基本的要件として、ASC認証を受ける養殖場は、関連する法的義務(許認可等を含む)を順守していることが求められる。

原則2:自然環境および生物多様性への悪影響の軽減

二枚貝養殖によって起こりうる自然環境および生物多様性への影響に対処すること。二枚貝の排泄物により海底環境が悪化したり、摂餌によりプランクトンが枯渇しないよう、モニタリングと評価を行い、適切な密度での養殖が求められる。また周辺の生態系や絶滅危惧種に対して悪影響を及ぼしてはならない。

原則3:天然個体群への影響

不適切な稚貝や親貝の導入、外来種の養殖によって、新たな病害虫の発生や在来生態系のかく乱が引き起こされる可能性がある。他地域から天然種苗を取り寄せる場合、資源管理がなされていること、人工孵化種苗を使用する場合、天然個体への影響を評価すること、外来種を養殖する場合、適切な行動規範に従うことが求められる。また、遺伝子組み換えした種苗の養殖は認められない。

原則4:病害虫の管理と食害防止

二枚貝の病害虫、食害を引き起こす有害生物、養殖施設などに付着する汚損生物などの管理は、その影響が局所的かつ一時的であり、生態系に深刻な影響を及ぼすもであってはいけない。突然変異や発ガン性、奇形を誘発する殺虫剤、環境もしくは養殖個体に残留性のある有害化学物質を使用しないことが求められる。食害の被害を与える動物が絶滅危惧種の場合、殺駆除を行なってはならない。食害防止ネットに鉛素材を用いたり、爆薬による防除作業を行ってはならない。

原則5:資源の効率的な利用

二枚貝養殖における廃棄物は適切に処理されるとともに、有害性のある廃棄物については流出防止策を立てなければならない。また、廃棄物を削減するため、再利用やリサイクルの推進が求められる。エネルギー効率改善の継続的な努力を行い、また最新の利用記録が閲覧可能であること。

原則6:地域社会に対する責任

養殖場は近隣の地域社会との軋轢を軽減し、紛争解決のための努力が求められる。景観に配慮した養殖施設の配置、悪臭や騒音の低減、流失したブイやロープなどの養殖施設の回収、地域からの苦情処理の手順などを定めなければならない。

原則7:適切な労働環境

養殖場は労働者に安全な労働環境を提供し、不合理、不平等な条件で労働を強いてはならない。児童労働、強制労働、虐待的懲戒行為、過剰な残業、不適切な賃金体系は認められない。

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP