持続可能な未来に向けたユースとの協働
2025/12/23
なぜユースなのか
国際社会は2030年までにネイチャーポジティブを達成し、2050年にはカーボンニュートラルを実現することを宣言しました。環境課題を解決し、これらの目標を達成することは、単独の組織や一部の専門家だけで成しえるものではなく、国や企業、地域社会、そして世代を超えた個人を含む多様なステークホルダーが協力することがとても大切です。特にユース世代にとっては、現在なされる意思決定や行動が、これから生きていく未来に直結します。そのため、環境課題解決はユース世代抜きに進めることはできません。

国際社会でも環境分野におけるユースの意見・立場やアクションが重要視されるようになっています。
ユースと環境課題
地球温暖化、サステナビリティ、SDGsといった言葉にごく身近に触れてきたユース世代だからこそ、環境課題に関して曖昧な理解にとどまらず、科学的知見に基づいた知識を身に着けることや、社会の実状を理解すること、そのための機会提供がなされなければなりません。なぜならば、せっかくの環境への想いやそれに基づいたアクションが、知らず知らずのうちに見せかけだけの環境配慮、すなわちグリーンウォッシュ に加担してしまう可能性があるからです。

科学的根拠に基づいた知識の獲得とそれに基づいた実践が大切です。
ユースからの期待
WWFジャパンでは、様々なプロジェクトの一環としてユース世代にも学びの機会を提供や、実際のフィールド活動の中で協働をする機会をつくってきました。その中で、ユース育成を目的として始まったのが次世代環境育成プログラムBEE(Base for Environmental Entrepreneurs)です。BEEでは、単なる科学的知見のインプットにとどまらず、実際のアクションを通して課題解決に挑戦する実践の場を目指しています。2024年、2025年と参加者募集をしたところ、合計約600名のユースからの応募がありました。この数字から、環境課題を解決するために実際に行動したい、WWFや同じビジョンを持った仲間とつながりたい、といった思いを持ったユースが大勢いること、そのための場づくりが求められていることが分かります。

第1回BEEの参加者たち。環境保全の現場視察として、WWFスタッフとともに石垣島白保を訪れました。
実際にBEEに参加したユースからも、
生物多様性や自然環境に関心を持つ人々と語り合える場は非常に希少であり、BEEプログラムでの経験は大きな財産となりました。
環境保全と事業の両立に本気で挑む仲間と出会ったことで勇気をもらい、自身の事業を進めていくことへの覚悟も一層固くなりました。
といった声が届いています。

先に挙げたグリーンウォッシュに加え、ユースを取り巻くもうひとつの「ウォッシュ」としてユースウォッシュが存在します。ユースウォッシュとは、「ユースの意見を聞くだけで、実際の意思決定には実質的な影響力を伴わない、表面的な参加に留まる (福田,2024 )」ことを指します。最近では、世界的に見て環境課題へ関心への高まりから、国際機関や企業、自治体などが様々な方法で環境・サステナビリティ分野でユースとの接点を模索しています。しかし、せっかくの行動力や主体性が表面的に「利用」されてしまうような状況は避けなければなりません。
WWFジャパンでは、今後もユース世代に環境課題解決のための大切なステークホルダーかつ協働すべきパートナーであるととらえ、共に持続可能な未来を築いていくための取り組み進めていきます。



