野生のトラの保護に向け、アジア諸国が協力を約束


その数、推定で約3,000頭~5,000 頭といわれる野生のトラ。この絶滅の危機に瀕しているトラを救うため、2010年1月、アジア各国政府代表による閣僚会議が開かれ、そこで2022年までに野生のトラの数を倍増させることが約束されました。国際的な協力に基づいた、保護の実現に向けた新たな一歩が踏み出されようとしています。

トラの生息国が保護を約束

この、バングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ロシア、タイ、ベトナムの各国政府が、2022年までに野生のトラの個体数を倍増させるための対策に乗り出すことを約束しました。

 現在、野生のトラが生息している国は、13カ国を数えます。

これは、2010年1月27日~30日、タイのリゾート地ホアヒンで開催された、第一回「トラ保護のためのアジア閣僚会議(the 1st Asia Ministerial Conference on Tiger Conservation)」において交わされたものです。

このアジア各国政府代表たちは、「トラ保護のため、新たな取り組みを早急に開始する」という力強いメッセージを発信。

さらに、トラの生息環境の保全や、トラを密猟から守るパトロールの実施、高価な値がつく虎骨(漢方薬の原料となる)などの国際間の取引禁止、さらに、野生のトラの生息地域で暮らす人々を支援し、人間とトラとの衝突を抑えることなどを宣言しました。

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支援のための取り組みも

また、会議の参加国は、これらの取り組みの実現や、そのための資金について、国際機関にも支援を呼びかけました。

これを受けた、世界銀行グループ総裁のロバート・B・ゼーリック氏は、会議の参加者に向けたビデオメッセージの中で「世界銀行は、トラの生息国における地域プロジェクトを支援するだけでなく、トラの保護資金をサポートするための、新しい金融商品を開発する準備ができている」とコメント。

会議を主催したタイ王国政府も、自国内でのパトロール強化に加え、隣国への活動支援や、ASEAN野生生物執行ネットワーク(ASEAN-WEN)に対するより、安定した資金確保などを行なう計画を発表しました。

今回の会議における各国の協力姿勢について、WWFの「トラ保護プログラム(Tiger Initiative)」のリーダーを努めるマイケル・バルツァーは、「トラの生息する国々が、2022年までに野生のトラの数を倍増させるため、一致協力することを誓ったことには、一つの確かな希望の光を見ることができる。そのことを、私たちも嬉しく思っています」と評価しました。

WWFも、各国政府と協力しながら、「トラ保護プログラム」や、東南アジア、極東ロシアで取り組んでいる森林の保全活動、さらにはワシントン条約に違反する密輸の規制強化を求める取り組みを通じ、トラを絶滅から救う活動を継続していきます。

 

関連情報

トラフィック イーストアジア ジャパンのサイト

2010年1月29日 トラフィックネットワークNEWS
アジア諸国が2022年までに野生のトラの数を倍増させることを約束

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