APRIL社の「環境配慮」に問題あり-APRIL社とのビジネスは慎重に!


WWFは、インドネシアのスマトラ島で貴重な森林の伐採を続ける大手製紙メーカー、APRIL社に関する声明を発表しました。同じインドネシアの製紙メーカー、APP社の森林破壊に関する新たな報告も、WWFとアイズ・オン・ザ・フォレストなど複数のNGOにより2010年12月に発表されたばかり。相次ぐ現地からの報告に、貴重な熱帯林が危機的状況に置かれていることが明らかになっています。

破壊され続けるインドネシアの森林

世界規模でビジネスを展開する世界有数の製紙メーカー、APRIL社。同社により製造されたコピー用紙などの紙製品や、原料となるパルプは、インドネシア国内での利用はもとより、世界各国にも輸出されています。

これまでWWFは、同じスマトラ島で操業するもう一つの大手製紙メーカー、APP社に対して、貴重な自然林を伐採し続ける行為を即刻止めるよう繰り返し求めてきましたが、同時にAPRIL社に対しても、何年にもわたり同社が紙・パルプ産業界でリーダーとなるべく働きかけと支援を行ない、持続可能な開発を目指せるよう活動を行ってきました。

しかし、APRIL社が保護価値の高い森林(HCVF)の保全などが求められる「FSCコントロールウッド」という制度の要求事項を満たしていないこと、そして満たすための是正措置をとっていないことが第三者機関による監査で明らかになりました。つまりAPRIL社は、貴重な自然林を伐採し続けているということです。

FSCコントロールドウッド(FSC管理木材)

FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)は、森林認証制度を運営する国際組織。森林の管理や伐採が、環境と地域社会に配慮されているかどうかの評価と認証を行い、基準を満たした製品には、認証マークが付けられます。

FSCでは、高まる需要や価格面でのニーズに応えるために、認証材と非認証材を混ぜて製品をつくることを認め「FSCミックス品」と表示する制度を設けています。ここで非認証材として使用できる木材は、厳格な現地認証審査が行われなくとも、以下の要件を明確に満たしていると確認できるものを指します。

これが、「FSCコントロールドウッド」と呼ばれます。

FSCコントロールドウッド 5つの要件

  1. 違法に伐採された木材でないこと
  2. 伝統的権利や市民権を侵害して伐採された木材でないこと
  3. 保護価値の高い森林で、その価値が脅威にさらされている森林から伐採された木材ではないこと
  4. 自然林を農地や植林地など森林以外の用途に転換するために伐採された木材ではないこと
  5. 遺伝仕組み換え樹木ではないこと

高まる「責任ある調達」のニーズに逆行

今、世界の政府や企業の間では、環境に配慮しながら木材や紙などの自然資源を持続可能な形で利用してゆこうとする「責任ある調達」に対する意識が高まってきています。

これにともなってビジネスのなかでの具体的に実践する動きも見られるようになっています。FSCの認証製品などの環境配慮型の木材や紙に対するニーズも高まるなかで明らかにされたAPRIL社の実態は、まさにそれに逆行するものといえるでしょう。

加えて、APRIL社が伐採権を取得しているスマトラ島中部には、大量の炭素を含む泥炭地の上に広がる森林(泥炭林)があります。この泥炭林の伐採は、多くの野生生物や人々の暮らしを支えている、貴重な森林の生態系を脅かすのみならず、大量の二酸化炭素を放出させ地球温暖化を促進させることにもなります。

インドネシア政府は、国際的な公約として、温室効果ガスを何も対策を行わなかった場合と比較して、自国の取り組みだけで2020年までに1990年比で26%、海外からの支援を受ければ41%削減すると発表していますが、APRIL社がこの泥炭林の伐採を行なえば、この国の目標に対してもマイナスの影響を及ぼすことになります。

WWFは、これらの問題をあらためて指摘し、APRIL社に改善を求めていますが、具体的な改善が見られない現在、同社とのビジネスには、リスクが伴うことを認識する必要があると考えています。

 

共同記者発表資料

2010年12月5日:APRIL社に対するWWFのポジション(英語版・日本語版)

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