APRIL社との取引停止を企業が発表


WWFは、世界規模でビジネスを展開する大手製紙メーカーAPRIL社に対し、スマトラ島の貴重な自然林の伐採を中止するよう求めてきました。2010年12月には、APRIL社が依然として自然林の伐採を続けていることが第三者機関の監査により明らかになり、改めて同社との取引にはリスクが伴うことを主張しました。ビジネスにおける環境への配慮に関心が高まるなか、富士ゼロックスはアジア・オセアニア地区の関連会社にてAPRIL社と取引があったが、監査で明らかとなった結果などを受け、国内及び海外のすべての富士ゼロックス及び関連会社で同社との取引を停止すると発表。WWFジャパンは、この決定を歓迎します。

失われ続けるスマトラの森

生物多様性の宝庫とも称されるインドネシアのスマトラ島。しかし、かつて島全体を覆っていた熱帯の森は今、APP社やAPRIL社などの大手製紙メーカーやその関連会社の原料調達地として開発が進み、過去約25年の間に、自然の森林面積は約ほぼ半分にまで減少。世界で最も森林減少のスピードが速いといわれています。

WWFは、貴重な自然林の伐採を中止するよう求めると同時に、本業での環境配慮を実践する紙・パルプ業界のリーディングカンパニーとなるように、APRIL社に自然林の保護とビジネスの両立を目指して交渉を行なってきました。

ところが2010年、APRIL社は、世界的な森林認証制度を運営するFSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)が定める認証基準の一つ、「FSCコントロールドウッド(FSC管理木材)」で求められる『「保護価値の高い森林(HCVF)』の保全」の基準を満たしていないこと、そして是正のための措置をとっていないことが第三者機関レインフォレスト・アライアンスによる監査で明らかになりました。

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伐採が進むスマトラ島の熱帯林

取引停止へ、富士ゼロックスの決定

これはつまり、APRIL社が貴重な自然林の伐採を続けていることを意味します。同社の操業が、生物多様性の損失や気候変動などの深刻化する環境問題に対して、ビジネス界の配慮が世界的に高まる流れに逆行するものであることは明らかであり、今回の富士ゼロックスの決定もその流れを証明するものと言えます。

富士ゼロックスは、同社および関連各社が仕入れる用紙に関して、法律や規制が遵守され、持続可能な森林管理がなされていることなど6つの原則を骨子とする「環境・健康・安全に配慮した調達規程」を2004年に制定しています。この調達規程に照らし、APRIL社と同じくスマトラ島で自然林の伐採を続けるAPP社との取引を停止しています。

持続可能な利用のために

多様な用途で使用される紙は、ビジネスにも人々の日常生活にも欠くことのできない身近な製品であり、WWFは紙を使うこと自体に否定的なわけではありません。例えばFSCの認証を取得した製品などのように、環境や社会への配慮がなされた製品も市場には流通しており、WWFとしてもそうした製品の普及と推進に取り組んでいます。

しかし2010年、日本で使用されるコピー用紙の約30%がインドネシアで生産されたものでした。つまり市場には、環境や社会に配慮し選ばれた製品と、それと対照的に、短期的な利益のために貴重な自然林を伐採している企業によって生産された製品とが混在しているのです。

WWFは、紙製品やその原料となるパルプを扱う企業が、自ら調達方針を定め、調達品の出所や環境や社会への配慮がなされているかを確認し、その方針に適合する原料や製品を選択する「責任ある調達」を行う必要があると考えます。

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