国連気候変動会議(COP18・COP/MOP8)の報告会を開催しました


国連気候変動会議(国連気候変動枠組条約第18回締約会議(COP18)、京都議定書第8回締約国会議(COP/MOP8)が、2012年11月26日~12月7日まで、カタールのドーハで開催されました。WWFはCOP18に至る一連の国際会議に足を運び、その議論の動向をつぶさにウォッチしてきた経験を生かして、気候変動問題に取り組む国内のほかのNGOとともに、2013年1月11日、COP18・COP/MOP8に関する報告会を都内で開催しました。

「ドーハ気候ゲートウェイ」の分析と情報共有

WWFジャパンでは、国連気候変動会議(COP18・COP/MOP8)が終了したあと、同会議で採択された「ドーハ気候ゲートウェイ」(Doha Climate Gateway)について、今後につながる合意だとしながらも、内容的には不十分であるとの意見を表明していました。

今回の報告会では、気候変動問題に取り組むほかのNGOとともに、会議の結果に詳細な分析を加えました。

さらに、今後の国際交渉のゆくえについて展望し、会場との質疑応答を通じて、参加者との情報共有を図りました。報告会にはおよそ170名の方々が来場され、熱心に耳を傾けました。

この「ドーハ気候ゲートウェイ」が採択されることで、それまでの国際交渉に一定の結論が出されました。

京都議定書の第2約束期間の数値目標が確定

注目されていた京都議定書の第2約束期間については、2013年から2020年までの8年間と決まりました。EU(27カ国)とオーストラリア、ノルウェー、スイスなどは第2約束期間に参加しますが、残念ながら日本やロシア、ニュージーランドなどは参加を見送ることになりました。

温室効果ガスの排出を削減する国際協定である京都議定書が2013年以降も効力を持つことになったことは、前向きに評価できるでしょう。

参加国による削減目標は、2013年~2020年の期間に1990年比18%減です。

報告会に参加した気候ネットワークの浅岡美恵氏は、「日本は京都議定書の第2約束期間への復帰を考えるべきだ」と述べました。

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国連気候変動会議の報告会

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日比谷図書文化館で報告会を開催

カンクン合意に基づく2020年までの取組みの整備

京都議定書に参加しない国々は、カンクン合意と呼ばれる自主的な削減目標にのっとって削減計画を実行することになります。

アメリカや日本、カナダなどの先進国は、2013年以降、公表された自主的削減目標を履行していくことになります。中国をはじめとする主な途上国のほとんども自主的削減目標を公表しています。

今後の課題の1つは、削減量を正確に把握し、報告・検証するMRV(Measure, Report and Verify)と呼ばれる制度を実施していくことです。また、先進国が途上国の削減行動を資金的・技術的に援助する仕組みも強く求められています。ドーハの会議では、特にこの資金支援が大きな争点となりました。

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WWFジャパンの小西雅子

これまでの先進国からの資金支援は、2012年で終了してしまいます。このため、2013年の中長期での資金支援が大きな争点となったのです。

経済事情が悪い先進国が具体的な数字を出すことに躊躇する一方、途上国は強く具体的な数字を求めました。結局、2013年以降の短・中期資金については、「2010年~2012年の平均資金額と同額を先進国が出すことが奨励される」という表現で落ち着きました。

2020年時点で1000億ドル規模という長期資金については、1年延長して議論の決着を図ることとなりました。

ほかにもグリーン気候基金(GCF)の位置づけや気候変動によって生じた「損失と被害」(ロス&ダメージ)を補償する仕組みなど、多くの議論が定まっていないことから、WWFジャパンの小西雅子は、今後の議論を更に注視していく必要があると話しました。

ダーバンプラットフォーム特別作業部会(ADP)

ADPという前回のCOP17(南アフリカ・ダーバン)で決まった作業部会では、2020年以降に発効する予定のすべての国を対象とする新たな法的枠組みに関する議論をする場です。2015年に採択されることを目指すこの法的枠組みについては、2014年12月のCOP20までに交渉の基礎となる文書の要素が検討され、2015年5月までに交渉文書が提示されることになりました。

現在各国から出されている削減目標を積み上げても、地球の平均気温の上昇を(産業革命前と比べて)2度ないし1.5度未満に抑えるべき、という科学的な提言を達成するのに必要な削減量とは大きな隔たりがあります。

この隔たりを埋めるためには削減目標を引き上げる必要がありますが、交渉自体はまだ端緒を開いたばかりです。

日本国内には、2009年に掲げた国際公約である1990年比25%削減の目標を引き下げようとする動きがありますが、気候ネットワークの平田仁子氏は、国際的な議論に逆行していると述べました。

課題解決には市民がカギを握る

地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)の早川光俊氏は、気候変動枠組条約と京都議定書は、温室効果ガスの排出削減に向けて国際社会が動き出す原動力となったとして、歴史的な意義を認めています。

合意に失敗したCOP15(デンマーク・コペンハーゲン)、新たな枠組み交渉の始まったCOP17などを例に挙げながら、1992年の条約採択から2012年の「ドーハ気候ゲートウェイ」に至るまで、一進一退をくり返しながらも、着実に前に進んできているとしました。

自国の利益にとらわれてしまい、気候変動という地球規模の問題にともすれば背反する行動をとりがちな各国政府よりも、市民・NGOなどの存在の方がより賢明な判断をくだせる可能性があります。国際交渉のゆくえを追いながら、適切な提言を市民やNGOがその都度、出していくことの重要性が、今回の報告会では共有されました。

関連資料

2013年1月11日のCOP18報告会の発表資料はこちらをご覧ください

関連情報

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CASAの早川光俊さん

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会場との質疑応答

 

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