発表:地球温暖化に関する最新の科学の報告書


2013年9月27日、国連の地球温暖化に関する最高峰の科学の報告書である、IPCCの第5次評価報告書の第1作業部会報告書が発表されました。今回の報告書では、前回よりも、人間活動により温暖化が引き起こされている可能性がより強く明示(95%以上の確かさ)され、温暖化がいっそう進んでいる現状が、さまざまな局面から述べられています。

地球温暖化の科学についての最新の知見をまとめた報告書

2013年9月23日から26日にスウェーデンのストックホルムで開かれていた、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第1作業部会の総会が終了しました。

このIPCC報告書は、温暖化の科学に関する最新の報告をまとめる場であり、ここで発表されるその報告書は、国際的にもっとも信頼のある知見として認められ、気候変動枠組条約など、各国が国際交渉に臨む際の基礎となっています。

また、今回の第1作業部会の総会では、2000ページにわたる本報告書から、世界の政策決定者たち向けに、わかりやすくまとめられた、20ページ余りの要約が作られます。

ここに盛り込まれる文章を、一文一文、100か国以上の各国政府代表が集まり、承認していくという作業が行なわれるのです。

今回の総会は9月23日から4日間かけて行なわれ、最後の二日はほとんど徹夜で作業が進められました。「政策決定者向けの要約」が出来上がったのは、最終日9月27日の午前5時 となりました。

より深刻化が明らかにされた地球温暖化の問題

今回発表された、IPCCの第5次評価報告書・第1作業部会の報告書は、人の手によって引き起こされた温暖化が、いっそう進んでいる現状を、さまざまな局面から示すものとなりました。

特に、温暖化が人間活動によって引き起こされている可能性を示す確率は、今回「95%以上」という、限りなく高い値を示しており、前回発表された第4次評価報告書をさらに上回る結果となりました。

この他にも注目すべき知見のポイントとしては、以下の内容があります

【1】海水温の上昇と氷の融解

海水温が上昇しており、北極海の海氷が溶けていること。21世紀半ばの夏には、海氷のない北極海となる可能性が高いことも示されました。また、南極やグリーンランドなど、陸地の氷も過去10年の間に急激に溶けており、その速さは、さらにその前の10年間の数倍のスピードに相当するとされました。

【2】海水面の上昇

海水面の上昇の加速も指摘されました。特に、陸地の氷が解けることにより、第4次評価報告書の時よりも、海面上昇の幅が大きくなることが予想されています。

【3】海洋の酸性化

大気中の二酸化炭素の濃度が上がり、それが海水に溶け込むことで、海洋が酸性化しており、今後さらにそれが深刻化するという予測が発表されました。

 

これらの海水温の上昇、海水面の上昇、海洋酸性化はいずれも、大都市を沿岸部に抱え、海洋生態系に食べ物や生活を依存している海洋国家の日本にとっても、影響が非常に大きい事柄です。

また、この夏、日本は猛暑や豪雨を間近に経験しましたが、今回の報告書ではあらためて、今後さらに猛暑や熱波、豪雨が増加する可能性が、非常に高いと指摘しています。

人の手で引き起こされている地球温暖化が、一層進んでいること、深刻化していることが、さまざまな予測に基づいて示される報告書となりました。

「科学の報告書」から「政治の意思」へ

一方、今後の気温予測については、4つのシナリオが示されました。
世界の気温上昇が「産業革命前に比べて2度未満」に抑えられない場合、地球環境は温暖化による深刻な影響を被ることになる、と予測されています。

しかし、この4つのシナリオのうち、「2度未満」に抑えることができる可能性のあるシナリオ(RCP2.6)があることも、明確に示されています。

こうしたシナリオが示す道筋や、その根拠であるIPCCの示した世界最高峰の科学の知見を、未来に向けて活かせるかどうかは、世界の国々が今後、どのような政策を採るかによって決まります。どのような社会を選ぶかを決めるのは、政治の意志に他なりません。

これからの温暖化防止のための国際交渉は、世界の温室効果ガスの排出を、増加から減少へ確実に転換しなければならない非常に重要な時期を迎えます。

2020年までの温暖化対策、そして、2015年に合意が見込まれている、2020年以降の新しい温暖化防止条約も、今回のIPCCの最新の報告をふまえて、議論されることになるでしょう。

このIPCC第1作業部会の報告書は、温暖化の深刻な影響がこれからの世代、子どもや孫の世代に、さらに重くのしかかっていくことを予測しているものともいえます。

そしてその温暖化のもたらす帰結が、実際に地球上で、どこで、どのような影響を及ぼすか。それについては、2014年に横浜で開催される、IPCCの第2作業部会総会で発表される、次の報告書で明らかにされる予定です。

 

関連情報

スタッフブログ

【参考情報】各省庁による速報版

各省庁では、第5次評価報告書について、日本語のわかりやすい速報版を出しています。

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