WCPFC会議始まる:注目されるカツオの資源管理


2014年12月1日から、南太平洋のサモアでWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)の第11回年次会合が開催されます。この会議での重要な課題は、太平洋クロマグロ資源の管理措置案が採択できるか。そして、今回初めて提案されるカツオの漁業管理措置についての合意の行方です。近年、日本近海での漁獲が減少しているカツオの資源保護に向けた、新たな一歩が、今回の会合で踏み出されるのか。各国の姿勢が注目されます。

太平洋のマグロとカツオについての採択

産卵可能な親魚が、かつての4%しか残っていないと推定される太平洋クロマグロ(本まぐろ)。

その資源保護と漁業管理を話し合う国際会合であるWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)の第11回年次会合が、2014年12月1日より5日まで、サモアのアピアにて開催されます。

この会合は、10月にアメリカで開催され、東部太平洋のクロマグロ資源の保全措置について合意したIATTC(全米熱帯マグロ類委員会)に続くもので、中西部太平洋でも同様に新たな管理措置案が採択されるかが注目されています。

そして同時に、今回のWCPFC会合では、中西部太平洋で最も多く漁獲されているカツオについても、その管理措置について重要な提案が行なわれます。

カツオは、過去10年間にわたり漁獲量の上限や削減量が定められてきましたが、まき網での漁獲とカツオの漁獲死亡率は増加し続け、その資源量は減少してきました。

今回初めて、WCPFCの会合でカツオについての提案がなされる背景には、こうした過去の対策が効果を生まず、追加対策の必要性が明らかとなったことがあります。

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カギとなる「目標管理基準点」

この提案は、日本政府とナウル協定加盟国連合(PNA)がそれぞれ行なうもので、些少の異同はあるものの、共にカツオ資源の中長期的な資源保護に向けた、厳しい管理の導入を求める内容です。

そのカギとなるのは、「目標管理基準点(TRP)」に基づいた資源の保存管理措置。

「目標管理基準点」とは、漁業の現在の状況が望ましいかを判断するために用いる指標の一つですが、生態学的、社会学的、経済学的な視点での評価が含まれていることに特徴があります。

つまり、単純にその魚の資源量が回復可能なレベルかどうかを示す「限界管理基準点(LPR)」よりも、多くの視点から厳しく資源を評価する、漁業管理の基準です。

今回の提案では、この「目標管理基準点」を中西部太平洋のカツオ漁業の管理措置として設定することで、小規模漁業を含めた商業漁業を守り、持続可能な漁業を実現することを目指したものです。

WWFは、この日本およびPNAによる提案が、徹底的な調査に基づいた、持続可能な漁業の条件に適合していること、また乱獲につながる漁獲の制限と、資源保護につながる十分な予防原則に立ったものであることから、その内容を高く評価し、WCPFCの加盟各国に対し、採択を強く働きかけていくことにしています。

また、カツオの「目標管理基準点」の設定が合意された後も、資源保護の目標達成をめざし、十分な情報の収集と、資源量評価への適切な反映がなされるよう、求めてゆきます。

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