【Card for Rangerキャンペーン】カメルーンのレンジャーにカードを届けました


2012年12月にWWFジャパンが開始した「Card for Ranger」キャンペーンで、お寄せいただいた応援のカードを、2013年5月、アフリカ中西部のカメルーンにお届けしました。このキャンペーンは、カメルーンとヒマラヤ山麓の国ブータンの保護地域で動物や植物を守るために働くレンジャーを応援するため、日本国内で応援カードを募集し、現地に届けるというものです。日本全国から、また一部国外から寄せられたカードは1,057枚。たくさんの方にご参加をいただき、心より御礼を申し上げます。

集まった1,000通を超える応援カード

WWFジャパンでは2012年より、アフリカ中西部の国カメルーンと、ヒマラヤ山麓の国ブータンへ、保護区の活動を支援するプロジェクトを開始しました。

両国共に豊かな自然を有し、貴重な動植物が数多く生息する一方で、森林の違法伐採や象牙などを目的とした密猟が跡を絶たず、残された自然も急激に進む開発などにより、確実に失われつつあります。

しかし、人の手で壊されている自然を守っているのもまた、人間です。
それぞれの国の保護区である国立公園では、レンジャーと呼ばれる人々が定期的にパトロールを行ない、密猟や、違法な伐採といった犯罪行為を取り締まることで、国立公園の動植物を守っています。

こうしたレンジャーは多くの場合、国の森林省に属し、そこから派遣されていますが、パトロールなどに必要な装備などが乏しく、過酷な状況下で働いていることも多いのが現状です。

例えばカメルーンでは、密猟者がカラシニコフといった性能の高い武器を使用しゾウの密猟を行なっているのに対し、レンジャーたちは複数のチームに1本のライフルしかない状態で、これと戦わなければならないこともあります。

WWFでは、そうしたレンジャーたちの活動を、資金や装備などの面から支援することで、それぞれの地域の環境保全に携わってきました。

その中で、WWFジャパンが今回、日本で実施した「Card for Ranger」キャンペーンは、現場で活躍するレンジャーたちに送る応援カードを募集することで、レンジャーという仕事を少しでも多くの方に知ってほしい、という想いから始まりました。

2012年12月の募集開始から、2013年3月末の締め切りまでに、日本全国と、一部海外から寄せられた応援カードは、実に1,057枚。そのそれぞれに、現場で頑張るレンジャーたちに向けられた、あたたかい気持ちと言葉が込められていました。

カメルーンの保護区に届いた!日本からの声援

ここで集められた応援カードは、2013年5月21日、現地のフィールドを訪れたWWFジャパンのスタッフによって、まずカメルーンのロベケ国立公園のレンジャーたちに届けられました。

この日、ロベケ国立公園管理事務所に集まったのは、総勢12名のレンジャーたち。今回、日本全国から届いた応援カードを、直接レンジャーの皆さんに渡したい、という意向を事前に伝えていたため、忙しいパトロールの合間を縫って、当日集まれるレンジャーたちが勢ぞろいしてくれたのです。

まずは、東京都に在住のWWF会員の方が、親子で作り、応援カードと一緒に贈ってくださった、すばらしい千羽鶴の贈呈。日本の伝統的な折り紙でできた鶴と、そこに込められた、レンジャーたち一人ひとりの無事を願う気持ちを伝えました。

すると、美しい鶴の様子を喜んだレンジャーたちの間から「お守りにぜひ一人ずつ鶴を持ち帰りたい」との声が。ふつうであれば折鶴を分けるようなことはしないものですが、今回は特別に束ねていただいた鶴の房を、1本ずつ切り離して、1人1本ずつ、持って帰ってもらうことにしました。

そして、カメルーンのレンジャーたちに宛てられた応援カード、576通が贈呈されました。
レンジャー個人宛に、皆さまが書いてくださったものは、それぞれのレンジャーに。カメルーンのレンジャー全員に宛ててお寄せいただいた応援カードは、その場にいた12名のレンジャー全員に渡し、読んでいただきました。

それから1時間。レンジャーたちは全ての応援カードに目を通していきました。
そしてその場で、応援カードを送ってくださった日本の皆さんに、レンジャー1人1人が、あらためて手書きでメッセージを書こう、ということになりました。

そこには次のようなメッセージが書かれていました。

「皆さまからのメッセージを読み、とても嬉しく思っています。そして、皆さんのことを誇りに思います。なぜならば、私たちが密猟者と戦うことに対し、いつも励ましを与えてくれるからです。日本の支援がなければ、私たちが守ろうとしているカメルーンの動物たちは、死んでしまうに違いありません。私たちは、日本を誇らしく思います。そして決して、日本の皆さんのことを忘れません」

千羽鶴のひと房は、この日、その場にいることのかなわなかった、もう一人の仲間にも届けられました。2011年に密猟者と戦って亡くなったレンジャーです。色とりどりの鶴たちは今、彼の写真の横にも飾られています。

ご参加をありがとうございました

日本からの応援の声は、まずカメルーンの保護活動の現場に、無事にお届けすることができました。
それが、レンジャーたちにどれほどの喜びと勇気を与えてくれたか。つぶさにお伝えすることは難しいですが、今回「Card for Ranger」キャンペーンにご参加くださった皆さまの想いは、確かにレンジャーたちの胸に伝わりました。

この場をお借りし、心のこもった応援カードを書いてくださった皆さまに、そしてメッセージの翻訳を手掛けてくださったボランティアの皆さんと、キャンペーンを支えてくださった全ての関係者の方に、心よりお礼を申し上げます。

なお、ブータンのレンジャーたちにお寄せいただいた、481通の応援カードについては、すでに全ての翻訳を終え、2013年7月初旬に、ブータンの現地に届ける予定です。こちらにつきましては、改めてご報告する予定ですので、今しばらくお待ちください。

 

【追記】カメルーンのレンジャーたちから、日本の皆さまへのメッセージ

MANGA FRANÇOIS
私たちの仕事の危険性と努力を知ってくださってとても嬉しく思います。
悲しいことに、身を守るための角を持っていかれ、死に絶えたゾウ達を時々見つけます。
私たちレンジャーは密猟者を防ぐため、パトロールをし、時に密猟者と戦いになります。
私は皆様からのこうした応援カードや物資、金銭的な援助が大きな助けとなります。
アフリカのロベケ国立公園にぜひとも来てください。大好きな皆さん、ありがとうございました。
マンガ・フランソワ

SOUAÏBOU NGAÏRI
親愛なる日本の同志の皆さん、
今日皆様からのメッセージを読んで、とても嬉しく思っています。そして、私は皆様を誇らしく思います、なぜなら私たちが密猟者と戦うことに対し、いつも励ましてくれるからです。日本の支援がなければ、私たちの動物はカメルーンで死んでしまうに違いありません。私は日本を誇らしく思います。そして決して日本のみなさんのことを忘れません。ありがとう、さようなら。
スアイブ・ンガイリ

EKANI ARMAND PIERRE COLIN
親愛なる日本のパートナーの皆さん、こんにちは。
皆さんの素晴らしい励ましのメッセージを受け取ったこと、そして皆さんが森で暮らす動物たちの命や生活を心配してくださっていることを私はとても嬉しく思います。私たちはレンジャーとして保護区を守るためには努力を惜しみません。なぜなら誇りを持ってこの職業を選んだからです。しかし不幸なことに私たちは多くの困難に直面しています。経済的な困難、物質的な設備の不足などです。例えばコンゴのレンジャーたちと一緒に仕事をするとき、彼らは密猟者と戦うためにカラシニコフ銃を持って行動していますが、私たちカメルーンでは何も持たずにパトロールをすることもあるのです。
エカニ・アルマン・ピエール・コラン

TSAO FRANCIS GAUTIER
親愛なる日本の皆さん、こんにちは。
皆様からいただいたイラストやメッセージを読んで、私は嬉しいということをただあなたたちにお伝えしたいです。動物を保護し自然をより良くするために私たちを応援してください。この仕事はたくさんのリスクもありますが、愛を持って、私はこれからも密猟者から動物たちを守り続けます。
サオ・フランシス・ゴティエ

MPEH DJANGA GERARD
親愛なる日本の皆さん、こんにちは。
私たちの仕事を応援するために皆様が書いてくださったカードを受け取り、嬉しく思っています。私は、このロベケ国立公園という遺産を保護することに専念するということで皆様を安心させることができると信じています。なぜならここは神から無償で頂いた財産だからです。我々の子どもたちもこれらの財産を受け取ることができるよう、この無償で受け取ったものを守らないことがあるでしょうか。
しかし、私たちはこの活動をしっかりと行うための支援不足に苦しんでいます。
皆様、本当にありがとうございました。皆様も頑張ってください。
ペア・ジャンガ・ゲラルド

MVE JOËL ROMMUALD
日本の皆さん、こんにちは。
応援メッセージを受け取り、とても嬉しく思っています。なぜなら、皆様が愛する動物たちを(私たちレンジャーは)守ることができているのだという喜びを、私に与えてくれるからです。
いつか皆様にもカメルーンに来ていただき、動物たちをもっと近くで見てもらえたらと思います。お元気で。
ムベ・ジョエル・ロムアルド

DJON MAGUY REGINE
国立公園やその近辺で恐ろしい密猟者と出会ったりするような危険があっても、私たちは自然や動物を守らなければなりません。私たちは、密猟者を捕まえるために、すばやく対応します。それは宿命なのです。
ジョン・マギー・レジン

ROMUALD NGUETTI
メッセージをありがとう。自然はとても美しいです。私たちはその自然を守るために、方法は少ないけれど戦っています。
ロムアルド・ヌゲッティ

(仮訳:2013年7月10日追記)

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