飛行機と船と「部屋にいるゾウ」


パリで開かれている国連の気候変動会議COP21の会場より、温暖化担当の山岸です。

COP開幕から4日目を迎えたパリの空は、さわやかに晴れ上がりました。

ですが会議場では、久しぶりの陽光を楽しむ間もなく、合意文書の草案づくりが続けられています。

この文書に並ぶ一つひとつ言葉を選ぶ真剣な交渉に、産業革命からの世界の平均気温の上昇を2度、あるいは1.5度未満に抑えられるかどうか、がかかっています。

この2度未満という数字は、地球温暖化の深刻な影響を回避するために必要だと、国際社会が認めている脅威のボーダーラインです。

それを達成するには世界全体の排出量を2050年までに2010年比で40~70%削減することが求められます。

しかし一方で、現状の世界の経済活動が、その目標を脅かしています。

たとえば、国境を超えて移動する国際航空と国際海運による温室効果ガスの排出です。

晴れ渡ったパリの空

国際航空と海運による排出量は、このまま対策を取らなければ、2050年までに270%増加すると予想されている。

この日、世界の950以上のNGOがつくるCAN(気候行動ネットワーク)インターナショナルは、その日の交渉に後ろ向きな言動を見せた国に与える不名誉な賞「化石賞」の1位を、ICAO(国際民間航空機関)とIMO(国際海事機関)の2つの国際機関に与えました。

化石賞が締約国以外に与えられるのは異例のことです。

気候変動の脅威から未来を守るためには、こうした問題から目を背けることはできません。

パリ会議では、先送りされてきたこの問題を直視し、国際的に規制していくことが求められます。

ICAOとIMOが受賞した「化石賞」の受賞イベント。

誰もが認識していながら見て見ぬふりをすることを、英語のことわざで「部屋いるゾウ(elephant in the room)」と表現します。そのため、象のマスクをかぶってこの問題の解決を訴えるアクションも行なわれました。

自然保護室 気候変動・エネルギーグループ所属
山岸 尚之

国連交渉や国内の気候・エネルギー政策でのアドボカシー(提言)活動を担当。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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