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WHOが野生哺乳類取引の一時停止を各国に要請


4月12日、世界保健機関(WHO)、国際獣疫事務局(OIE)、国連環境計画(UNEP)が、生きた野生の哺乳類の取引について、各国に要請を出しました。

その内容は、野生の哺乳類が媒介する動物由来感染症の感染リスクを抑えるため、取引市場の衛生管理などを徹底し、それが出来ない場合は、取引自体を一時停止するよう求めるものです。

©Traffic SE Asia/Chris R. Shepherd

アジアのマーケットで売られる生きた動物たち。近年急増している、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような新しい動物由来感染症は、消毒なども十分に行なわれていない、こうした場での取引によって感染を広げていると考えられています。

今回のWHOの要請は、アフリカや、東南アジアや東アジアなどに今も数多く存在する、食肉やペットを目的とした生きた野生動物の取引市場の現状をふまえたものと思われます。

こうした取引市場では、さまざまな動物が狭い檻に閉じ込められ、不衛生かつ人との距離が近い状態で輸送、保管、販売されていることが多く、感染症のリスクを高めると考えられています。

©E. John/TRAFFIC

食肉として売られる野生動物。哺乳類や鳥類が保有し、人間に感染すると考えられる未知のウイルスは80万種以上ともいわれています。

こうした野生動物の利用や取引は、もちろん長い間、地域の人々の間で行なわれてきました。

それが今、状況によっては停止が求められるほど、喫緊の問題になっている背景には、森林破壊や都市部での野生動物の過剰利用などの深刻化により、野生の世界にのみ存在していた未知の病原体と、人や家畜が接触する機会が、世界中で増えている実情があります。

野生生物を利用する場合の欠かせない観点の一つとして、今回の要請の中でも指摘されている「生物多様性の保全」。それは、次のパンデミックを防ぐ上でも、実現しなくてはいけない重要な課題なのです。


生きた野生動物をペット目的で数多く輸入している日本にも、今回WHOなどが問題を指摘しているような海外の市場から、生きた野生動物が持ち込まれている懸念がもたれています。

こうした問題を日本の消費者や事業者は認識すると共に、政府もまた、日本のペット需要がもたらす感染症リスクを、今こそ見直すべきと思います。

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日本のペット市場で販売されるサル

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