日本の原風景とミゾゴイの森


草刈です。6月の終わり、石川県輪島市に行ってきました。
きっかけは、「輪島の産廃処分場問題を考える会」より産業廃棄遺物処理場の建設で、地域の自然が危機にさらされているため、是非現地を見て欲しいと、要望をいただいたことでした。

くわしくお話をうかがうと、国際的な希少鳥類であるミゾゴイを始め、さまざまな野生生物が生息しているとのこと。

初めての訪問でしたが、肌で感じた海にも近い山林や棚田が織り交ざる能登の自然は、まさに豊かさそのものでした。

絶滅が危惧されているミゾゴイ

地元の自然が育んできた、海女(あま)漁、揚げ浜式製塩などの伝統技術も伝わっており、過去にはNHKの朝ドラの"まれ"の舞台にもなったそうです。

問題の廃棄物処理場「門前クリーンパーク」の建設予定地は、「能登富士」とも呼ばれる高爪山の山腹でした。

これを削って建設するという事は、現地で「ふるさとの富士」と呼ばれるこの山の景観を、大きく損なうことにつながります。

富士山に例えるなら、静岡県から山頂に登ってみると、山梨県側に、巨大な産廃施設が建っている、という感じでしょうか。そんな光景、誰しも見たくないですよね。

一方で、この計画が過疎化・高齢化の進む中、地域が活性化を求め浮上したものであることも分かり、日本の地方の自然を守っていく難しさも、あらためて感じるところとなりました。

その後、現地の方々と相談しつつ、日本自然保護協会や日本野鳥の会とも情報を共有。8月22日に、3団体で「共同意見書」を石川県に提出することにしました。

事業が進むかどうかは、県が認可するかどうかにかかっています。日本の原風景を未来にのこしていくためにも、引き続き石川県に対して働きかけて行きたいと思います。

関連情報

能登富士の裏側、赤線のエリアが谷ごと開発される。

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自然保護室 国内グループ所属
草刈 秀紀

日本の自然保護にかかわる法制度の改善をめざす取り組みを行なっています。

子どもの頃から動物が好きで、農業者でもないのに農業高校の畜産科に行き、上京して大学時代に多くの自然団体の会員になりました。野生のエルザのゲームワーデンにあこがれ、32年前に職員になりました。最近は、永田町を徘徊しています。

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