仔トラの列車事故


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自然保護室の川江です。
皆さんは「ロードキル」という言葉をご存じでしょうか。

野生動物が道路や鉄道などを通った際に、交通事故で命を落とすことをいうものです。

あまりニュースにこそなりませんが、日本では毎日のように生じているこのロードキル。

海を越えた海外でも、同じように起きています。

今年2月、極東ロシアでは仔トラが列車にはねられるという悲しい事故が起きました。

現場は、ウスリー川沿いの森林地帯で、トラがロシアと中国を行き来できる数少ない通り道の一つ。

列車にはねられた仔トラ

ハバロフスク地方狩猟局により定期的にモニタリング調査が行なわれている場所でした。

犠牲となった仔トラは、まだ生後4~5か月のメスで、死因は全身打撲による脊椎骨折。

現場検証の結果、付近に密猟者などがいた形跡はなく、仔トラの足跡のみが見つかっていることから、線路を横断しようとした際に列車にはねられたと考えられます。

また、事故が起きる前には、現場から30キロ離れた場所で母トラが獲物を捕らえていたことがわかっており、検死のため仔トラの死体を運び出そうとした際にも母トラが周囲を探し回りながら、鳴き声を上げて仔トラを呼び続けていたそうです。

仔トラはもちろん、この母トラのことを考えると、なんともやり切れない気持ちでいっぱいになります。

シベリアトラ

自然界では1才以下の幼いトラの死亡率は、とても高いといわれています。

その上に、こうした事故や密猟、生息地の森林伐採などの人為的な脅威が加わると、トラの個体数回復はより困難なものとなります。

極東ロシアのトラ保護の歴史の中で、列車事故が起きたのは今回が初めてのことだそうですが、密猟は今もまだ続いています。

密猟や違法伐採といったトラの生存を脅かす意図的な犯罪行為は、何としても防いでいかなければいけない。そんな思いを改めて強くした事件でした。

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