麗水万博で「黄海エコリージョン支援プロジェクトを発表


韓国より、自然保護室の安村です。
現在、韓国の麗水(ヨス)で国際博覧会(万博)が開催されています。

6月29日には、万博に参加している日本館の認定行事の一つとして、「海民プロジェクト-海でつながる地域、人、そして未来へ」と題したシンポジウムが開催され、私たちが推進している「黄海エコリージョン支援プロジェクト」も、「海民と地域における研究活動」の例として発表されました。

発表には、2008年からプロジェクトに参加・協力くださっている韓国の環境NGO「生態地平研究所」のチャン・ジヨンさんが登壇。韓国の全羅南道にあるムアン干潟で進められている、地域住民が主体となった干潟保全のモデル事業についてお話ししました。

このムアン干潟は、埋立計画が地域住民の反対により撤回されたのを機に、2001年に韓国初の国設の湿地保護区として指定された場所です。

しかし、その後しばらくの間、活動や管理は停滞してしまい、住民の関心も喚起できていませんでした。そこで、このプロジェクトの支援を受けた生態地平研究所が活動を開始。住民が、地域の行政、研究者と共に、文化と暮らしを育んできた干潟の豊かさを再認識し、資源の状態を調べ、伝えていく取り組みを提案・試行してきました。

そうした取り組みが近年になって実を結び、今年の世界湿地の日で、大統領賞を受賞したことも紹介されました。

日本を含むアジア太平洋の沿岸地域には、共通した伝統漁法や文化が見られますが、近代化や経済成長に伴う生活様式や生態系の変化により、各地で衰退しつつあります。

その現状を受けて開かれた今回のシンポジウムは、各地域ならではの知恵を掘り起こし、現場が抱えるさまざまな問題を解決するために「持続可能性」を問い直すこと、また国際的な連携を目的にしています。

プロジェクトでは、年内を目安に、ムアンでの取り組みを評価し、広く関係者への発信を行なってゆくことにしています。

 

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ムアンについての活動発表。現地では新たな課題や、さらに活動を発展させるアイデアが出てきます。

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

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