名島海岸に渡り鳥がやってきた


自然保護室の前川です。
新緑がまぶしい季節となりましたが(いや、もう過ぎてるか?)、福岡から嬉しい春の便りが届きました。

昨年12月、WWFでは地元の市民団体と共同で、渡り鳥の保護に貢献する海岸作りをした福岡市港湾局に、感謝状を贈呈しました。

今、この名島海岸にたくさんのシギ・チドリが、羽を休めに訪れているそうです。

ここは人の生活圏に近いため、安心して鳥たちが休めるよう、人が近付けない休息場所が作られました。

しかし課題はそれだけではありませんでした。毎年多くの漂着ゴミに加え、アオサと呼ばれる海藻が流れ着くのです。

大量のアオサが腐敗すると社会問題にもなるため、市は民間に委託し、重機による海岸清掃を行なってきたのですが、機械作業では海岸の小さな生きものたちも取り去られてしまいます。

そこで、ふくおか湿地保全研究会(代表 服部卓朗氏)では、重機ではなく人の手による清掃を提案。さらに地区の住民にも呼びかけ「渡り鳥のえさ場づくり実験」と称した海岸清掃を実施して、アオサを残し、ゴミのみを取り除きました。

結果は大成功。
アオサと砂の間に小さな生きものが残ったことで、それらをエサとする渡り鳥がたくさんやってきたのです。ハマシギの群もたびたび訪れ、この春の累計渡来数は2000羽!に達したとみられています。

今回、名島公民館熟年会から7名が清掃に参加(※)し、「近くで鳥がエサを食べていたり、飛んでいたりする姿を見ることができて、清掃にやりがいを感じた(渡辺正二さん・名島公民館館長)」「鳥に関心をもつようになった。これからも一人一人が支え合いながら清掃をつづけ、もっと参加する人が増えると良いと思う(上杉恭一さん)」といった声が聞かれたそうです。

市民団体の地道な観察と具体的な提案、市との連携、そして住民の参加。今、福岡では、都市における生きもののための環境づくりが、確かに成功しつつあります。

※今回参加された名島公民館熟年会のみなさん(敬称略 五十音順)  大坪耕一郎、上杉恭一、首藤通保、野崎福三、金森憲蔵、渡辺正二、柳田栄

ハマシギ。北の繁殖地へ向かう途中、日本の干潟に立ち寄ります。

名島海岸は人工的に造成された小さな海岸。
周辺にはマンションや人家が建ち並びます。

清掃活動にご参加くださった名島公民館熟年会の皆さん。
おつかれさまでした!

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WWFジャパン海洋水産グループ グループ長
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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