横浜にて IPCC総会の会場より


横浜で開催されているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第2作業部会の会議 に参加しています。

今回の会議では、「温暖化の影響」についての新しい「報告書」の要約を、集まった世界各国の政府が1行ずつレビューし、承認する作業が行なわれています。

現時点で終わったのは、全40ページのうちまだ5分の1以下...

前回、昨年9月に「温暖化の科学」の報告書が発表された時も、進行が遅れて最後の二日は徹夜となり、めちゃめちゃ飛ばして、なんとか間に合うといった状況でしたが、今回も時間がかかりそうです。

それにしても、今立てられている温暖化の影響の予測は深刻です。
世界中で増え続ける温室効果ガスの排出量は、今のところIPCC報告書が示したもっとも排出量が多いシナリオ(RCP8.5)をたどっています。

つまり、何も対策をとらなければ、温暖化はいずれ、このRCP8.5シナリオが示す最も甚大な被害をもたらすことになりかねません。

そのシナリオでは、21世紀末の日本でも、大きな影響が及ぶことが予測されています。環境省の報告書も、洪水の被害や熱中症関連の死亡者が2倍になるなど、詳しく見れば見るほど、恐ろしくなる内容です。

一方で、世界の平均気温の上昇を、産業革命前に比べて「2度未満」に抑えるシナリオを選ぶことができれば、温暖化の影響はかなり軽減されることもわかっています。そして、その対策のための時間は、もうあまり残されていません。

今回の「温暖化の影響」の報告書は、私たちが今後どのように温暖化対策に向き合うべきなのか、その判断の基準をあらためて示してくれるものとなるでしょう。報告書は会議の最終日、3月31日に発表されます。(温暖化担当:小西)

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会場の様子

WWFの席。ここで仕事をしています!

詰めかけたマスコミ関係者

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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