「保護」と「管理」を切り分ける?鳥獣保護法改正のゆくえ


草刈です。
先日、衆議院の環境委員会の国会の会合に参考人として呼ばれ、意見陳述をしてきました。議題は今、国会で審議されている、鳥獣保護法の改正についてです。

この鳥獣保護法が前回、1999年に改正された時、著しく増えたり、減ったりした野生動物の保全・管理を進めるための「特定鳥獣保護管理計画」制度が作られました。

「保護」と「管理」の考え方も、その「計画」の中に書かれていたのですが、今回の法改正ではその2つを完全に分けてはどうか、という意向が強く改正案に反映されようとしています。

大雑把にいうと、数の少ない動物は「保護」し、数の増えすぎた動物は狩猟者や業者が「管理」(減少)しよう、言う考え方です。

一見、合理的に見えるのですが、自然はそう簡単に割り切れるものではありません。同じ場所に、絶滅危機種もいれば、個体数の多い動物も生息していることがあるからです。

「管理」だけに捉われると、現場での狩猟などの作業中、数の少ない植物を踏み荒らしてしまう、というようなことも起こり得るでしょう。

一方で、シカやイノシシが非常に増え、農林業への被害が深刻になっている地域も増えているため、狩猟による個体数管理に頼るのもやむを得ない面があります。

あくまで、生態系のバランスを考え、保護・管理を一つの取り組みとすることが大事なのです。

こうした「日本の野生鳥獣をどう守るか」という問題に長期的に取り組むため、私たちは各地域に野生生物の保護管理の専門家や、捕獲を専門とする担当官を置くべきではないか、と考えています。

国会で意見陳述した他の3名の参考人の方々も、同じく専門家の配置が必要であると語っておられました。

そうした方針を国の政策として位置付ける「鳥獣保護法」の改正案が、今週中には衆議院を通る見込みです。さて、どうなるか?!注目したいと思います。

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国会の質疑の様子は、会期中インターネット上の映像で見ることができます!

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自然保護室 国内グループ所属
草刈 秀紀

日本の自然保護にかかわる法制度の改善をめざす取り組みを行なっています。

子どもの頃から動物が好きで、農業者でもないのに農業高校の畜産科に行き、上京して大学時代に多くの自然団体の会員になりました。野生のエルザのゲームワーデンにあこがれ、32年前に職員になりました。最近は、永田町を徘徊しています。

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