「春が来た!」マラソンバードたちの旅


自然保護室の安村です。
春が来ました! といっても、日本の話ではありません。

こちらとは季節が逆の南半球、ニュージーランドの話です。

先日、ニュージーランドのメディアで、そんな南半球の季節感じさせる記事が紹介されていました。

9月半ば、ニュージーランドはクライストチャーチに、200羽以上のオオソリハシシギの第一陣が到来した、というものです。

地球を南北に旅するオオソリハシシギ

渡り鳥であるオオソリハシシギは、毎年この時期、一週間以上かけて、冬の厳しいアラスカから1万キロ以上の距離を飛び、この地にやってきます。

通称「マラソンバード」とも呼ばれるこの鳥たちは、地元では春の到来を告げてくれる「使者」だそう。

暖かいこの場所で、オオソリハシシギは食べに食べて栄養を蓄え、次の旅までに体重を2倍にします。

そして来年3月、中国や韓国の黄海沿岸、また日本の干潟へと飛んで来て数週間を過ごし、また繁殖地のアラスカへと旅立ってゆくのです。

毎年繰り返される渡り鳥のこうした営みは、ついつい見過ごされがちですが、遠く離れた外国から季節を運んでくる使者を迎え、楽しむことは、とても贅沢なことではないでしょうか。

そんな鳥たちは今、さまざまな環境問題によって脅かされています。特に深刻なのが、干潟など沿岸の湿地の開発。

彼らを守るためには、こうした「渡り」がつなぐ各国の中継地や繁殖地、越冬地にあたる湿地の自然を保全しなくてはなりません。

東アジアを代表する湿地の一つ、香港のマイポ湿地。渡りの重要な中継地でシーズンには、多くの鳥たちで賑わいます。

そして、この鳥たちを守る世界の人々もまた、つながりを持って取り組みを続けています。

私たちもその一員として、東アジアの湿地と渡り鳥の保全を目指しながら、彼らが来年、南半球から日本に春を告げに来てくれるのを、楽しみにしたいと思います。

多くの渡り鳥が集う黄海の干潟

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淡水・教育・PSP室長
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。毎日、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

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