冬鳥の目


先日、双眼鏡を片手に、同じ沿線に在住のスタッフが集まって、ちょっとした冬鳥の観察会をやりました。

場所は東京練馬区の石神井公園。

二つの池を気持ちのよい木立が取り巻く、都内でも知られた緑地の一つです。

もともとカワセミなどは一年中見られる場所ですが、冬になると、水辺にはカモなどの水鳥が、木々や枯れたアシ原には小鳥たちがやってきて、その姿を見ようと集まる人もまた増えてきます。

冬晴れに恵まれたこの日は、風こそ冷たかったものの、池の周りをのんびり歩くには、非常に心地のよい日より。

葉を落とし、すっかり冬のたたずまいとなった木々の間に、エナガやシメといった小鳥の姿を楽しむことができました。

また池の水面には、ハシビロガモやキンクロハジロ、ホシハジロなど、この季節になると多く見られるカモたちが浮かび、昼寝をしたり、水に頭をつっこんで採食に没頭したりしていました。

WWF双眼鏡も活躍しました

お尻を出して採食中のオカヨシガモ

そんな冬鳥の姿を眺めていると、この公園が住宅地に囲まれた、周辺を交通量の多い道路が多く走る場所であることを、つい忘れてしまいます。

それでも、考えてみれば、毎年シベリアからはるばるここを目指して飛んでくるわけですから、鳥にとっては、このような場所が開発されたりせずに、ちゃんと変わらず残っているかは、大変な問題に違いありません。

歩けばそれなりに広く感じるこの公園も、航空写真で見れば、人の世界に浮かぶ島のような小さな緑地。彼らがいつも見ている景色は、まさにこのようなものなのでしょう。

普段、地上からしかモノを見られない私たちが、手にすることのできない、地球を見る空からの目。

そんな視点を忘れずに、自分たちの身近な日常的な風景の中に、鳥たちの大切な場所があることを、忘れないようにしたいものです。(広報室 三間)

赤い目が目立つホシハジロ。一羽だけいました

空から見た石神井公園

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。

虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。

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