© Jianmin WANG

「きっと、そらでつながってる。」


今日、10月12日は、「世界渡り鳥の日」です。

渡り鳥とその生息地を守るため、国際協力や世界の認識を高めるために定められた日で、毎年2回、5月と10月の第2週土曜にやってきます。

森や砂漠、ツンドラ、干潟、マングローブ、水田など、さまざまな環境を利用しながら、毎年国境を越え、長い旅をする渡り鳥は、多様な自然を象徴する野生生物。

その保全は、世界各地のWWFにとっても大事な活動の一つです。

私たちも今、WWF中国の仲間たちと、黄海沿岸の重要湿地「ナンプ湿地」の保全に取り組んでいます。

無数の水鳥が舞う、黄海沿岸屈指の豊かさを誇るナンプ湿地。毎年数十万羽の鳥たちがやってきます。
© Jianmin WANG

無数の水鳥が舞う、黄海沿岸屈指の豊かさを誇るナンプ湿地。毎年数十万羽の鳥たちがやってきます。

ここはシギやチドリ、カモメ類など数多くの渡り鳥の飛来地で、実はその中に、日本でも見られる種が多くいます。

日本と中国はどちらも、同じ一つの鳥の渡りルート「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」に属する国。

この2つの国には、共に干潟や藻場など重要な湿地が多くあるのです。

シギ類の一種サルハマシギ。夏にシベリアで繁殖し、春と秋に国境を越えて日本や中国の干潟を訪れます。長い旅の休息や採餌には、こうした国々の豊かな湿地が欠かせません。
© Hartmut Jungius / WWF

シギ類の一種サルハマシギ。夏にシベリアで繁殖し、春と秋に国境を越えて日本や中国の干潟を訪れます。長い旅の休息や採餌には、こうした国々の豊かな湿地が欠かせません。

人がつくった二次的自然の「水田(田んぼ)」もその一つ。

特に九州の有明海沿岸などでは、干拓地の水田と海辺の干潟が、水の流れを通じて一つの景観を生みだし、両方の自然を利用して生きる渡り鳥たちに、欠かせない環境となっています。

日本を代表する水田地帯の九州に広がる里山・里地の風景。淡水魚、水生昆虫、両生類などさまざまな生きものを育む、豊かな生態系があります。
© WWF Japan

日本を代表する水田地帯の九州に広がる里山・里地の風景。淡水魚、水生昆虫、両生類などさまざまな生きものを育む、豊かな生態系があります。

しかし、こうした水田や水路の自然は、改修工事などによって豊かさを失い、そこに生きるドジョウやメダカなどの魚も、絶滅が心配されるまでになりました。

渡り鳥たちによって「そらでつながってる」この自然。

今、渡りのシーズンを迎える中で、私が担当として取り組む渡り鳥の保全と、水田・水路の生きもの保全の「つながり」、そして大切さを、あらためて感じています。

空の架け橋となる渡り鳥にとっても大切な水田の生態系を守るWWFの取り組みを、皆さまもぜひ応援してください。(海洋水産グループ:吉田)

【寄付のお願い】失われる命の色 田んぼの魚たちと自然を守るために、ぜひご支援ください!

この記事をシェアする

自然保護室(海洋水産)
吉田 誠

チリ、インドネシア、中国のフィールドプロジェクトを担当。

田舎生まれの田舎育ち。こどもの頃から自然の中で遊ぶことが好きで、自然を守る仕事がしたいと思っていたところ、WWFと出逢いました。海の環境、海の生きものを守るため、頑張ります。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP