人も鳥も、ほっとひといき


広報の佐久間です。
先日、イギリスにある「ロンドン・ウェットランドセンター」という湿地を訪ねました。その名のとおり、首都ロンドンの市内から、地下鉄とバスでわずか30分ほどのところにあります。

大都市のすぐ近くにあるとは思えない、広々とした空と緑地、そしてノンビリと池に浮かぶ鳥たち。世界各地の水鳥が飼育・展示されているコーナーもありますが、野生の鳥たちも多く飛来しています。

かつては、水道水を供給する貯水地でしたが、1980年代に使われなくなったため、さまざまな生きものが暮らせる湿原に再生されたのだそうです。その再生事業に携わったのが、画家でナチュラリスト、そしてWWFの創立者でもあるピーター・スコット(1909-1989)です。園内には、「WWFハイド」という名前のついた野鳥観察小屋もありました。

入場料は大人一人約10ポンド(1600~1700円くらい)と、けっこう高いのですが、家族連れやカップルなど、多くの人たちが訪れていました。遊歩道を歩いたり、池のほとりのカフェでお茶を飲んだり、一日、ゆっくりと過ごしているようです。

この湿地を見ていて思い出したのが、日本の大阪南港野鳥園です。ロンドンと同じく、大都市(大阪市)のすぐ近くにあり、人の手によって再生された水鳥の楽園。しかし現在、大阪市から、「公共が関与する必要性が低い施設」とされ、予算が大幅に減らされるなどの問題がもちあがっています。

都会の喧噪は、ロンドンも大阪も同じ。週末にほんのすこし電車やバスに乗るだけで、広々とした水辺で、鳥たちや緑に囲まれて過ごせる時間は、大阪の人たちにだって大切だと思うのですが。

私も東京の喧騒の中に戻ってきて、時折ふと、ロンドン近郊の池にぽかんと浮かぶ鳥たちの姿を思い出しています。

ロンドン・ウェットランドセンター

左 カオジロガンの親子、右 バンのヒナ、下 コブハクチョウの親子

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マーケティング室(会報担当)
佐久間 浩子

WWFではずっと「伝える」ことに携わってきました。今は会報を担当しています。

なにごとも決めつけてはいけない。知ったつもりになるな。複雑なものを、複雑なまま受け止める覚悟を持て。想像力を磨き、ヒトの尺度を超える努力をせよーー動物や植物に教えられたことを胸に、人と自然の問題に向き合い続けたいと思います。

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