異議あり!石炭火力発電所の新設容認


先日、環境省が石炭火力発電所の新たな建設を容認する、という報道がありました。

石炭火力発電所は、温暖化の原因となる二酸化炭素CO2を、最も多く輩出する発電施設です。

このため環境省では、その新設について、環境影響評価(環境アセスメント)の手続きの中で、一定の抑制をかけてきました。

それが今回、容認された、ということになります。

報道によれば、電力会社などが温暖化防止に前向きに取り組み、CO2の排出削減計画を提出して報告を行なう、といった条件のもとで、容認が行なわれたそうですが、これは日本の今後の温暖化対策を遅らせる原因になるおそれがあります。

昨年末にフランスで開かれた国連会議「COP21」で、「今世紀後半には世界の排出量を実質ゼロする」という目標を掲げた「パリ協定」が合意されたことからも分かるとおり、世界は今、石油や石炭に頼らない「脱炭素」に向けた動きを加速させています。

また先日、環境省の有識者懇談会「気候変動長期戦略懇談会」でも、日本が排出量を「2050年に80%削減」する、という方向性が確認されたばかりでした。

その中で容認された今回の石炭火力発電所の新規増設は、明らかな「後退」であり、国際社会の信頼を損なう一方、世界が目指すエネルギー社会から、日本が取り残されるリスクを負うものです。

これを受け、私たちは今日、「石炭火力発電所の新設容認を見直すべき」という声明を発表しました。

発電所のような施設は、一度作れば長い間(火力発電所は一般に40年程度)使われ続けることになります。

今回の容認が、21世紀後半の未来にも大きく影響することを考え、石炭にいまだ頼っている企業自身と、環境省、そして日本政府に対し、世界に胸を張れる決断を求めたいと思います。(自然保護室 山岸)

声明:2016年2月8日

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自然保護室 気候変動・エネルギーグループ所属
山岸 尚之

国連交渉や国内の気候・エネルギー政策でのアドボカシー(提言)活動を担当。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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