温暖化の解決に貢献 ?問われる日本の技術革新を起こす力


地球温暖化・エネルギー担当の山岸です。
昨今、日本でも「技術のイノベーション(革新)」をどうやって起こすのか、という議論が花盛りです。

温暖化対策の分野でも、{革新的な技術を通じて、日本は温暖化対策で貢献していくのだ!」という声がよく聞かれます。

しかし、肝心のその「イノベーションを起こす力」が、日本はそんなに高いとも言えない、という報告書がWWFインターナショナルから発表されました。

新報告書の名前は、「グローバル・クリーンテック・イノベーション・インデックス 2017(The Global Cleantech Innovation Index 2017)」です。

この報告書のテーマは、「クリーンテック」、つまり、再生可能エネルギーや省エネルギーなどのクリーンな技術です。対象となる40カ国がどれくらいクリーンテックを生み出していく力を持っているかを、15の指標を使って評価しています。

地球温暖化対策にとって、こうした技術が持つ役割が重要であることは、誰もが認めるところです。最近の事例で言えば、電気自動車や燃料電池自動車の普及が注目されていますね。

しかし、今回の報告書は、日本の自負に警鐘を鳴らす内容となっています。

評価対象となった40カ国のうち、日本は総合点で12位となっており、前回の2014年報告書の時から変わらず、「中の上」程度に留まっています。

特許の数などの指標では、日本はそれなりです。しかし、日本の評価が伸び悩む理由は、リスクを嫌う傾向が災いしてか、イノベーションをおこす起業家を支える投資環境が整っていないことに主な原因があります。

また、国の再生可能エネルギーに関する目標が、低いことも要因です。

「技術で貢献」はしばしばすぐにできる対策をやらないで、将来に対策を先延ばしにしたいときに使われがちな 言い訳ですが 、真に技術で貢献していくためにも、日本は課題を抱えていることを本報告書は示しています。

原文は英語の報告書ですが、後日、日本語の概要も掲載する予定ですので、ぜひご一読下さい。

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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