震災復興へ向けて、専門家との協動始まる


海洋担当の前川です。
皆さんからご支援をいただいている、暮らしと自然の復興プロジェクトの一環として、専門家との第一回の検討会を開催しました。

これは、特に漁場となっている被災地の沿岸域で、今回の東日本大震災が、自然環境と人の暮らしにどのくらいの影響を与えたのかについて、専門家の方々と意見を交換し、震災復興を通じた今後の具体的な環境保全活動を検討するものです。

お集まりいただいた方々の研究分野は、地理学、化学物質汚染、海草藻場、鳥類、沿岸生態系、漁業経済学、文化人類学などさまざまで、いろいろなアドバイスをいただくことができました。

いずれの専門家の方も、このままだと、行政の一方的な復興が推し進められてしまい、それが本当に地域住民の求めるものになるのか、また、産業の基盤となる自然環境への配慮が不十分なままになるのではないか、という懸念をお持ちでした。

また、「自然環境の適切な保全と管理が、長期的な視点での本当の復興につながる」、このことが、豊かな自然の恵みを利用し、人々が生計を立ててきた東北の復興のカギであり、それを自治体や地元の方にしっかりも伝えていくことにも、大きな期待が寄せられていることがわかりました。

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被災した震災直後の漁港(相馬港)

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WWFの事務局で開かれた検討会

いただいたご意見と、被災地域で行なってきた聞き取り調査の結果をふまえて、どうプロジェクトを組んでいくかが、今の私の最大の課題です。

未曾有の災害を乗り越え、自然とよりそった人の暮らしを営んでゆくために、また、本来の自然の力を削いでしまうような形で、復興計画が進められることの無いように、緊急に必要なアクションを意識しながら、長期的な支援ができるよう、取り組んでゆきたいと思います。

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自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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