震災復興へ向けて、専門家との協動始まる
2011/06/30
海洋担当の前川です。
皆さんからご支援をいただいている、暮らしと自然の復興プロジェクトの一環として、専門家との第一回の検討会を開催しました。
これは、特に漁場となっている被災地の沿岸域で、今回の東日本大震災が、自然環境と人の暮らしにどのくらいの影響を与えたのかについて、専門家の方々と意見を交換し、震災復興を通じた今後の具体的な環境保全活動を検討するものです。
お集まりいただいた方々の研究分野は、地理学、化学物質汚染、海草藻場、鳥類、沿岸生態系、漁業経済学、文化人類学などさまざまで、いろいろなアドバイスをいただくことができました。
いずれの専門家の方も、このままだと、行政の一方的な復興が推し進められてしまい、それが本当に地域住民の求めるものになるのか、また、産業の基盤となる自然環境への配慮が不十分なままになるのではないか、という懸念をお持ちでした。
また、「自然環境の適切な保全と管理が、長期的な視点での本当の復興につながる」、このことが、豊かな自然の恵みを利用し、人々が生計を立ててきた東北の復興のカギであり、それを自治体や地元の方にしっかりも伝えていくことにも、大きな期待が寄せられていることがわかりました。
被災した震災直後の漁港(相馬港)
WWFの事務局で開かれた検討会
いただいたご意見と、被災地域で行なってきた聞き取り調査の結果をふまえて、どうプロジェクトを組んでいくかが、今の私の最大の課題です。
未曾有の災害を乗り越え、自然とよりそった人の暮らしを営んでゆくために、また、本来の自然の力を削いでしまうような形で、復興計画が進められることの無いように、緊急に必要なアクションを意識しながら、長期的な支援ができるよう、取り組んでゆきたいと思います。