被災地・松川浦へ鳥の調査に行ってきました


自然保護室の前川です
震災と津波の被災地、福島県相馬市でWWFが進めている「暮らしと自然の復興プロジェクト」の一環として、1月24日に鳥類調査を実施してきまし た。

今回の調査は昨年9月の秋の調査に続く2回目で、冬鳥として渡来しているカモ類の生息状況を把握することが主な目的です。調査の実施ととりまとめ は、NPO法人バードリサーチに委託していますが、今回は日本野鳥の会相双支部の方2名にもご協力をいただきました。

鳥類は生息環境の特性や生態系の豊かさを表す指標となります。
また、震災以前から継続的に調査が実施されているため、自然環境の影響や回復状況を 推定するにも役立ちます。

この日は朝から青空が広がる絶好の鳥見日和で、前日からの降雪で大荒れとなった東京とは対照的な天気となりました。

この日観察された鳥類はヒドリ ガモ、カワアイサなどのカモ類の他、魚食性のタカであるミサゴなど、20種あまり。

相双支部の方によると、「震災の影響で特に個体数が減った様子はない」と言います。松川浦の環境の一部は、回復しつつあるのかも知れません。

いっぽう、鳥が多いことは、時として人の暮らしと間に軋轢を引き起こします。
自然環境の回復と同時に、水産業の復興を支援していくためには、鳥類 の生息状況をきちんと把握し、今後起こりうる問題をも視野に入れた取組が重要です。

次回調査は春を予定しています。南の地方で冬越しをしていた、シギ・チドリ類がやってくる時期になります。

photo1.jpg

魚だけを食べるタカのミサゴ。この鳥がいる
ということは、魚がちゃんといる、ということ!

photo2.jpg

カモで確認したのは、ヒドリガモをはじめ、
カワアイサ、オカヨシガモなどでした。

photo3.jpg

松川浦にそそく河口での調査

この記事をシェアする

自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP