ビジネス界からもより高い温室効果ガス排出量削減を求める声が!


温暖化・エネルギー担当の山岸です。
6月2日、政府・地球温暖化対策推進本部で、日本の2030年に向けての温室効果ガス排出量削減目標に関する政府原案が了承されました。

内容としては、4月末に政府の検討小委員会で提示されたものから大きくは変わっていませんが、同本部は首相が本部長なので、これをもって正式に日本政府の「案」となりました。この後、パブリックコメントの期間を経て、7月に正式に国連に提出がされる予定です。

WWFジャパンとしては、これまでも、「2013年比26削減」という目標では国際的にみて、危険な気候変動を避けるために充分な目標とは言えないと、声明の中で批判し続けてきました。

そのような中、ビジネス界からもより高い削減目標を求める声が上がってきました。

5月29日、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(通称「Japan-CLP」)という日本企業10社のメンバーからなる企業グループが、政府に対し、より野心的な目標を求める意見書を発表したのです。

Japan-CLPは、「人類最大の脅威である気候変動問題において消極的と見なされることは、当分野における今日までの日本の実績や国際社会からの信頼を危ういものとし、低炭素技術や人材等の海外展開にも悪影響を及ぼす懸念がある」としつつ、 「我が国が責任をもって積極的に気候変動問題に取組むには、2030年の削減目標として、少なくとも1990年比30%(2005年比で約36%)以上が望ましいと考える」と述べています。

昨日発表された政府原案の「2013年比26減」という目標は、90年比に換算すると「18%減」になるので、上記のCLPによる提案はかなり積極的な内容です。

これまでは、日本企業の中から、気候変動(温暖化)問題に対する対処を必須ととらえ、「目標や政策面での強化を企業が自ら求める」声は少なかったのが実情です。

その意味ではこうした意見書が出てくることは画期的で、本年12月の国連会議・COP21をひかえ、少しずつではありますが、温暖化対策に関する気運が盛り上がってきたところもあります。

こうした積極的な声が、どんどん出てきて、日本や世界での取り組みの底上げにつながってほしいものです。

参考情報

関連情報

この記事をシェアする

自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP