水産庁が太平洋クロマグロの資源管理強化を発表


2010年5月11日、日本の水産庁は「太平洋クロマグロの管理強化についての対応」を発表しました。これは、2011年度から、日本が漁獲している太平洋のクロマグロ(本まぐろ)についての資源管理を強化する、新たな施策を導入するというもので、減少が懸念されている太平洋クロマグロの資源保護につながることが期待されます。

持続可能なマグロ漁をめざして

2010年3月に開催された「ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)」以降、マグロ類の国際的な資源管理のあり方が世界的に注目されています。

その中で、日本の水産庁が、日本の沿岸を含めた、太平洋に生息するクロマグロの資源管理を目指す施策を発表しました。
太平洋に産するクロマグロは、全漁獲量の7割を日本が漁獲していますが、近年は資源水準の悪化が懸念されています。

水産庁は今回の発表の中で、2010年度中に資源の回復計画を策定し、2011年度から新しいルールに基づいて、太平洋のクロマグロを対象とする漁業の管理を強化し、大中型まき網漁業の休漁や、漁獲してよいマグロのサイズの制限、養殖場の登録制度の導入などに取り組むとしています。

これは、太平洋クロマグロ資源を利用するうえで包括的な資源管理を目指した内容であり、WWFジャパンも、この発表が、今後の日本での持続可能な漁業の推進につながるものとして期待しています。

クロマグロ(Thunnus thynnus)「本まぐろ」の名で知られる。最高級のマグロとして人気がある。

世界の海のマグロ類の資源管理にかかわる国際機関。海域や魚種によって管轄が異なる。
くわしく見る

太平洋のクロマグロ保護をリード

また、今回の発表は、太平洋のマグロ類の資源管理を、国際的なリードするものにとしても期待されます。

太平洋クロマグロは、国際的な地域漁業管理機関の一つである「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の管理対象となっていますが、中長期的な資源管理のあり方などについては、何も合意が打ち出せていません。

2009年のWCPFC年次会合でも、漁業資源を保護するため早急な対策が必要とされている現状を、各国は認識を持っているものの、踏み込んだ対策の決定には至りませんでした。

韓国やメキシコなどの新興生産国でも漁獲量が大きく増えつつある中で、太平洋クロマグロの資源管理を牽引するため、最大の消費国である日本が、率先した資源管理への姿勢を示したことには、大きな意味があります。

実際、水産庁でも、このWCPFCにおいて資源の保存管理の強化を訴え、東太平洋で太平洋クロマグロを漁獲しているメキシコへの協調を呼びかける、としており、2010年9月に予定されているWCPFC北小委員会でも、日本がリーダーシップを発揮することが期待されています。

 


記者発表資料 2010年5月12日

WWFジャパン、水産庁発表の「太平洋クロマグロの資源管理強化」を歓迎

【東京発】2010年5月11日、水産庁は「太平洋クロマグロの 管理強化についての対応」を取りまとめ、発表した。日本が全漁獲の7割を生産する太平洋クロマグロについて、水産庁は2010年度中に資源回復計画を策定 し、2011年度から太平洋クロマグロを漁獲対象とする主な漁業に新たな施策を導入、資源管理を強化することとなる。WWFジャパンは今回の水産庁による 発表を歓迎し、今後日本が国内における資源管理を強化するとともに、国際的なマグロ類の資源管理を牽引していくことを期待する。

本年3月に 開催された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約:CITES)」以降、マグロ類の国際的な資源管理のあり方が世界 的に注目されている。今回資源管理の強化を目指す太平洋クロマグロは、国際的に地域漁業管理機関の一つである「中西部太平洋まぐろ類委員会(以下、 WCPFC)」において管理対象となっている。2009年のWCPFC年次会合では、暫定措置として2010年漁期の未成魚の漁獲の削減や、漁獲努力量の 現状維持が採択されたが、中長期的な管理施策の導入には至っていない。韓国やメキシコを中心に新興生産国における漁獲量が増加傾向にある太平洋クロマグロ 管理を牽引するため、日本が世界に先駆けて具体的な管理施策を示したことになる。

日本が最大の漁業国であり、かつ消費国となっている太平洋 クロマグロの持続可能な利用のため、水産庁は国内漁業の基本的な対応として、(1)未成魚漁獲の抑制・削減、(2)親魚資源量の資源変動が中長期的 (5~10年)に適切な範囲に維持され、かつ過去の最低水準以上を保つ、という2点を管理目標としている。具体的な施策として、大中型まき網漁業の休漁、 漁獲サイズ制限、個別割当量の導入や、養殖における養殖場登録制の導入、養殖実績報告の義務化などが示されており、太平洋クロマグロ資源を利用するうえで 包括的な資源管理を目指したといえる。さらに国際交渉への対応として、WCPFCにおいて保存管理措置の強化を訴え、東太平洋で太平洋クロマグロを漁獲し ているメキシコへの協調を呼びかけるとしている。

WWFジャパンでは、一刻も早い持続可能な資源利用を目指し、太平洋クロマグロの資源管理 措置が国際的に合意されることを求めてきた。WWFジャパンは、今回の水産庁の発表を歓迎するとともに、2010年9月に開催されるWCPFC北小委員会 で、日本がリーダーシップを発揮し、中期的な資源管理措置が合意されることを期待する。また、今回示された内容の管理施策が、科学的根拠にもとづく予防原 則に従い、2011年度から導入されるよう注視し、その実効性を検証していく。

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