太平洋クロマグロの確実な資源回復に向け 日本のリーダーシップを期待


声明 2017年4月24日

日本は、太平洋クロマグロの最大の消費国であり生産国です。現在、太平洋地域では、乱獲によるクロマグロ資源の深刻な枯渇が確認されています。資源量を評価している北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)の最新の報告によると、すでに初期資源(漁業が開始される以前の推定資源量)と比べ、2.6%まで資源が減少している「枯渇状態」にあり、かつ「過剰な漁獲が続いている」と指摘されています。しかし、太平洋クロマグロ資源を安心できるレベルまで回復させる長期的な計画はいまだ合意されていません。

今回、2017年4月25日~27日に東京で開催される、ISC主催の太平洋クロマグロに関するステークホルダー会合では、今年8月に韓国で開催される、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委員会と全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)の合同作業部会において議論される、太平洋クロマグロの長期回復計画の策定に必要な最新の科学的検討結果が説明されます。

これは、様々な管理手法と、いくつかの仮定した回復目標を組み合わせてシュミレーションをし、それぞれどれくらいの確率で達成できるかを予測した15のシナリオが公開されます。

また、その知見をもとに、漁業関係者、流通関係者、NGOや政府などのステークホルダーからの意見をとりまとめることになっています。この機会に、各ステークホルダーが、太平洋クロマグロの確実な資源回復に向けた意見を出すことが非常に重要になります。

WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)は、本年8月に韓国で開催される会合にて、予防原則に従った長期的資源回復計画、また、資源の減少や漁獲圧増大の判断根拠となる、科学的根拠にもとづく限界/目標管理基準値、及び確かな資源回復を図るための漁獲管理方策への合意がなされることを切望しています。

WWFジャパン自然保護室海洋水産グループ長の山内愛子は、以下のように述べています:

「WWFは少なくとも推定初期資源の20%への回復を達成するような目標が必要と考えています。太平洋クロマグロの最大の漁業国であり、かつ消費国として、日本は、確固たる資源回復計画に向けて行動する、大きな責任があります。WWFは、日本の関係者が、太平洋クロマグロの厳格な長期的回復計画の策定に積極的に取り組むことを要望します。特に、国際的な議論の場で、より高い目標や厳しい回復計画の合意形成に向けて、日本政府が真のリーダーシップをとることを期待しています。」

この件に関するお問い合せ

WWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン) 海洋水産グループ
〒105-0014 東京都港区芝3-1-14 日本生命赤羽橋ビル6F
Tel:03-3769-1718 Fax: 03-3769-1717 E-mail: fish@wwf.or.jp

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