普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書への意見


2012年2月3日 意見書

沖縄県知事あて

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
〒150-0014東京都港区芝3-1-14
事務局長 樋口隆昌

普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書に対して、環境保全の見地から次のとおり意見を提出します。

本事業対象区域は、WWFジャパンが50名以上におよぶ哺乳類、鳥類、サンゴ類などの多様な分野の専門家や地域NPO、行政関係者の協力を得て実施した、南西諸島生物多様性評価プロジェクトにおいて、優先的に保全すべき地域としてその重要性が示された地域です。

本評価書における調査、予測、評価や環境保全措置は不十分であり、沖縄県の貴重な生物多様性に著しい影響を与える事業であるといえます。

本評価書により環境保全の見地から同計画地での基地建設が生物多様性の保全等に与える影響は甚大であり、建設位置の再考を行うか、再度、方法書に立ち返り、環境アセスメント手続きを適正にやり直すことを求めます。

具体的には、この評価書では、普天間飛行場代替施設(辺野古新基地)が環境の自然的構成要素の良好な状態の保持、生物多様性の確保や自然環境の体系的保全、人と自然との豊かな触れ合いについて「大部分の項目でその影響の可能性を予測し、一部の項目では決定的な影響を与えるとしながらも、その影響は軽微である」と評価されている点は、科学的な根拠が不明確であり、調査、予測、評価の見直しが必要だと言えます。

環境保全措置についても、その多くが実効性や環境保全の確度を問わず「事業者の実行可能な範囲で最大限の回避・低減が図られているものと評価する」とされるなど、環境影響の回避や軽減についての検討がまったく不十分です。

国または地方公共団体による環境保全の基準又は目標との整合性に係る評価についても「事業者の実行可能な範囲での取り組みをもって基準又は目標との整合は図られているものと評価する」とされる項目が散見され、非科学的で不適正と言わざるを得ません。

また、方法書作成前に、環境への影響を及ぼすような事前調査を行い、後に、方法書追加修正版や準備書で新たな事業内容の追加を行うなど、手続きの進め方に違法性があります。

このような合理的でない環境アセスメント手続きでは、不適切な影響予測によって絶滅危惧ⅠA類で、国内唯一となる沖縄島周辺のジュゴン個体群を絶滅させる可能性が高いだけでなく、科学的で適正なプロセスを怠り、アセス制度の形骸化をさらに進めるものとなるでしょう。

なお、環境アセスメント手続きには無い、普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書の知事意見の形成にあたり、広く一般から環境保全の見地からの意見を受け付けることとした沖縄県知事の判断を高く評価いたします。

個別の分野に対する意見を以下に示します。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.7土砂による水の濁り

意見

沖縄県内の砂材等の購入のほか、県外からの調達等も含め、検討している概ね1,700万m3の埋立土砂の調達について、土砂の採取が各種法令に適合していること、ならびに、環境への影響に配慮されていることの確認方法を明らかにするべきです。

意見の理由

外来生物等の進入が懸念されますが、現評価書では、その配慮や適法性を客観的に判断することが出来ないことからより詳細な方法を示す必要があるといえます。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.13海域生物・6.17陸域動物

意見

陸域動物、海域動物、生態系への影響の予測に当たって、それぞれの動物種の生息適地範囲について、バッファーゾーンを考慮して検討する必要があります。

意見の理由

陸域動物、海域動物、生態系への影響の予測に当たっては、評価対象範囲内におけるそれぞれの動物種及び群集の生息適地範囲を考慮したとあるが、ジュゴン以外については、バッファーゾーンについて考慮されていないことから、追加検討を求めます。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.13海域生物

意見

「生息域の一部が消滅しても周辺の生息可能な環境へ移動すると考えられるため、直接的な個体の消滅は生じない」と予測・評価した根拠を科学的に示すべきです。

意見の理由

現在、日本沿岸域のウミガメ類が絶滅危惧種として指定され、その数が減少しています。その要因のひとつは、埋立や人工構造物の存在による潮流変化に起因した産卵可能な自然海岸の消失です。この例を一つとっても評価書における予測・評価・環境保全措置は科学的な根拠が無く不適切だと言えます。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.14サンゴ類

意見

施設等の存在に伴い消失すると予測するサンゴ類生息域の環境保全措置として、「工事施工区域外へ可能な限り移植する措置」、ならびに「移植後概ね3ヶ月後に行う」としている事後調査及び環境監視は、影響回避・提言措置として不適当です。下記の理由から埋立を回避することが妥当な環境保全措置だと言えます。

意見の理由

理由1:施設等の存在に伴い消失すると予測する6.9haのサンゴ類の生息域は、現状の沖縄島周辺のサンゴ礁環境を鑑みると貴重な環境であると言えることから、埋立の回避が妥当な環境保全措置だと言えます。

理由2:埋立の影響を回避・低減することを目的に、工事施工区域外の同様な環境条件の場所へ可能な限り行うとしているサンゴ類の移植は、サンゴ群集修復の技術開発が発展途上の現在、消失した環境の再生には保全措置としては不適切です。

理由3:移植後概ね3ヶ月後に行うとしている事後調査及び環境監視では、消失した環境修復への寄与を把握することは出来ません。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.15海藻草類

意見

施設等の存在に伴い消失すると予測している海草藻場78.1haの環境保全措置について、改変区域周辺の低被度箇所への生育基盤環境改善による生育範囲拡大の方法が具体的に記載されていません。「専門家等による指導により、範囲や具体的な方法を検討していく」との方針の記載は、環境保全措置とは言えません。科学的に妥当な環境保全措置を明記するか、埋立の回避を環境保全措置とすべきです。

意見の理由

理由1:辺野古前面海域では7.3%、大浦湾側では37.7%とされている海草藻場の消失は、絶滅のおそれが極めて高い沖縄のジュゴンにとって、重要な採食場所を消失することにつながることから、その絶滅を助長する可能性が高いと言えます。

理由2:低被度海草藻場の生育基盤の改善に向けた技術的な措置が具体的に記載されておらず、生育範囲拡大を図るとした環境保全措置の技術的な裏付けが十分に取れていません。このため埋立を回避すべきだと言えます。

理由3:「可能な限り生育範囲の拡大を実施することについては、事業者として実行可能な範囲内で最大限の回避・低減が図られている」との評価は科学的ではありません。不適切で信頼性に欠けることから、より科学的妥当な環境保全措置を検討・実施するか、埋立の回避をするべきです。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.16ジュゴン

意見

ジュゴンについて、評価対象範囲内における生息適地範囲を示し、その周辺に形成されている類似環境・生息可能範囲をバッファーゾーンとして、これを考慮した予測を行い、評価書に記載(p.6-16-191)していますが、汀間港等周辺の大浦湾のみバッファーと見なした科学的根拠が示されていないことから、その提示を求めます。

意見の理由

安部~嘉陽地先前面海岸から大浦湾西部の辺野古地先にかけて、連続的に個体が確認されている状況で、事業実施区域はバッファーゾーンと見なすのが妥当であると考えることから、その科学的な妥当性を示す必要があります。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.16ジュゴン
ジュゴンに係る現地調査の調査方法航空調査(6-16-10)

意見

調査方法に問題があるため、ジュゴンへの影響が発生している可能性があります。このため同調査により得たデータは、不確実性が高く、予測・評価の根拠として問題がります。ジュゴンについての調査の再実施を求めます。
なお、その際の調査方法としては、下記のような複数の調査手法を組み合わせ実施する必要があります。

  • 高高度から高性能カメラ等での撮影と分析を複数回行い、海域の固体確認を分析調査すべきです。
  • ラインセンサス調査の場合は、時間的正確性を保つ点からも観測ラインの測定を一斉に行うべきです。
     

意見の理由

5日間にわたり、2km間隔を1機の飛行機でラインセンサスを行うことは、ジュゴンをその海域から追い出す行為といえるでしょう。そのため調査が広範になればなるほど個体の確認が困難になると言えます。
また、300mの高度での飛行及び確認個体のヘリコプターでの追跡は、個体の調査機の認識率を高めストレスを生みます。また、複数日にわたり調査を実施することは、ジュゴンへのストレスを強めることとなります。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.16ジュゴン
事業実施区域周辺海域における行動軌跡(6-16-76)
パシブソナー調査咀嚼音(6‐16‐114,115)

意見

行動範囲の予測範囲が不十分です。ジュゴンの保護のためには、予防的原則に基づきより広い行動範囲を想定した、調査、予測、評価が必要です。そのため調査の範囲を見直し、再度調査を実施することを求めます。

意見の理由

大浦湾に個体Aは侵入していないとされていますが、藻場としての大浦湾周辺の移動は過去のデータからみても可能性が高く、実際に数回の軌跡も記録されています。

哺乳類型咀嚼音とされている発生源として、地域ではジュゴンを想定することが妥当であり、予防的原則からも、行動範囲とみなし対策措置を講ずる基礎データとすべきである。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.16ジュゴン
ジュゴン生息頭数の推移発見個体数(6-16-168,169)
平成16年度の環境省調査において確認されたジュゴンの行動軌跡(6‐16‐170)
辺野古地区前面の海草藻場の利用状況平成16年度以降に利用されなくなった理由(6-16-178~182)

意見

辺野古沿岸地域は、ジュゴンの通行海域と考えられます。また、嘉陽沖は個体数分布比率からも、非常に重要な生息・採餌エリアとなっています。ジュゴンの移動範囲は、本評価書の想定範囲よりも広範囲にわたることから、嘉陽周辺海域への影響の予測・評価についてはより詳細な検討が必要です。ジュゴンに関する調査を再度実施し、予測・評価及び環境保全措置についての見直しを行う必要があります。

意見の理由

藻場の分布域と密度の変化については、海水温、赤土被度、栄養塩など複合的な要因が考えられ、考慮すべき要件として、台風や演習の2項目のみでは不十分であり、これをもって分析・考察することは出来ません。また、軍事演習や海上作業はそのインパクト(発生する音量や回数、往来する頻度、実施範囲など)が具体的には示されておらず、単なる演習回数のみのデータでは個体への影響は評価できません。こうしたことから現在の評価書における予測・評価・環境保全措置は無効であるといえます。

個体Cの辺野古や大浦湾への移動事実は認められているものの、生息域としての利用の可能性は小さいとされていますが、過去のデータから宜野湾沿岸や金武湾まで移動する可能性は十分考えられます。また、個体Aとの競合により移動定着する可能性を踏まえた予測・評価を行う必要があると言えます。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.16ジュゴン
航空機からの騒音、低周波音航空機騒音・低周波(6-16-217~223)

意見

航空機からの音圧・騒音による影響について、ヘリコプターだけでなく固定翼機など様々な機体についても評価を行う必要があります。また、行動調査に際しては、それらの様々な機体の使用の可能性を考慮した影響評価を行うべきです。さらに低周波による影響は、生息地だけでなく行動域全般で影響に関する評価と対策を行うべきであり、離発着航路付近での影響評価が不足しています。

意見の理由

本調査では航空機やヘリコプターによる追跡時、逃避行動はなかったとされています。しかし、明らかに逃避行動と認められない場合でも、忌避のためにゆっくりと移動する可能性もあります。また、ヘリコプターの回転翼機による周波特性だけではなく、固定翼機による連続的かつ航路上の最低高度による影響も検討する必要があります。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.16ジュゴン
評価工事の実施環境影響の回避・低減に係る評価(6-16-229)

意見

低騒音杭打ち工法とその低減効果を具体的に示すべきです。また、監視員及び連絡・連携体制図を記載すべきです。また、効果が明らかでないのであれば、環境影響を確実に回避・低減できる措置を示すべきです。

意見の理由

保全措置として、「ジュゴンの接近や航路上の監視を行う」とされていますが、具体的な実施体制が示されておらず、影響を低減する工法については、その効果も記載されていません。そのため同回避・低減措置の有効性を判断することが出来ません。

意見を述べる分野:
調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.17陸域動物
工事の騒音による影響建設機械の稼働(6-17-112)
資材および機械の運搬に用いる車両の通行(6-17-114)

意見

営巣地周辺での工事作業および車両等の通過について、具体的にどのような対策を講じるのか記載すべきです。また、効果が明らかでないのであれば、環境影響を確実に回避・低減できる措置を示すべきです。

意見の理由

配慮措置により繁殖状況の変化は最小限ととどめることができるとされているが、その対策・効果が明らかに示されていません。繁殖状況への影響回避のためには、特に、視覚及び聴覚的な影響の回避措置が必要となります。具体的には、当該地域での工事中止・延期を含めた措置が必要となりますが、そうした内容については明記されていません。また、工事車両の通過が一時的な反応とされているが、期間中継続した騒音発生(6-17-118延べ片道14000台/月)は、生息地放棄の要因となる可能性が高く、影響は甚大であることから、実効的な措置を示す必要があります。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.17陸域動物
工事の実施環境影響の回避・低減に係る評価(6-17-199)

意見

キノボリトカゲ類など希少種の侵入防止のための抑止柵の設置は、それ自体が環境影響を及ぼす可能性のあるものです。侵入を抑止する柵及び設置工法が明らかとなっていない状況で影響を予測・評価することは不可能であり、その材質・大きさや施工方法を明らかにした上で、予測・評価を行うべきです。

意見の理由

キノボリトカゲ類など希少種の侵入防止のための抑止柵を設置するとされているが、十分な高さ、または面積での柵の設置が必要となり、具体的な柵資材の材質・大きさや施工方法などが記載されていない状況では、その影響を客観的に評価することは出来ません。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.18陸域植物
工事の実施工事中の大気質による影響(6-18-126)

意見

工事による裸地箇所については、積極的に水散布実施を行うべきです。

意見の理由

気候的要因により、転圧のみでの路面対策は十分ではなく、特に夏場の裸地面への水散布は粉じん等のみでなく、周辺の乾燥化や高温化対策としても有効です。車輪の洗浄と合わせ、必要事項として行うべきです。またその際、水流を発生させない適正量を管理する必要があります。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.20景観
6.20.3.1工事の実施主要な眺望点及び視点場の状況

意見

主要な眺望点及び視点場よりの影響が一部消失するものなど大きな影響が予測されているにもかかわらず、米軍施設内であることや制限区域で一般利用が行えない場所であることで、改変の程度が小さく、環境保全措置を講じないとしていることは環境影響評価上問題だと考えます。しっかりとした保全・回避措置を検討、実施すべきです。

意見の理由

大きな環境影響を引き起こす事業でも事業者が広範囲に用地を取得し、一般利用を排除する等により影響を軽減できるとすることはアセスの理念から外れるものだと考えます。また、現在、多くの県民が県外移設を希望し、かつ将来的に沖縄県下の基地縮小を求めている現状で、基地内の環境影響をあらかじめ回避・軽減しておくことは返還後の環境価値を維持する上でも重要なことだと考えます。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.20景観
6.20.3.1工事の実施景観資源の状況

意見

工事の実施により海成段丘の一部が改変されることとなっています。しかし、海成段丘について改変面積62haが調査範囲全体の1.4%であることを持ってごくわずかであり、変化の程度は極めて小さいとしています。環境保全措置として、埋立土砂発生区域での改変面積を可能な限り抑えることを挙げていますが、それだけでは環境保全措置は不十分だと考えます。

意見の理由

景観資源は改変の割合によってその影響の程度が変化するものではありません。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.20景観
6.20.3.1工事の実施評価結果

意見

国又は地方公共団体による環境保全の基準又は目標との整合性に係る評価については、景観保全について数値基準が無く、「開発等事業においては、生態系の撹乱、赤土等の流出、景観の悪化を起こさないよう、事業実施の場所、規模、工法等について細心の注意を払う」との記載を持って、評価している点が不十分であると考えます。
より踏み込んだ環境影響の回避・低減措置の実施を求めます。

意見の理由

より客観的な指標や景観資源の恩恵を受けている地域住民等の意向に基づく評価が必要だと考えます。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.20景観
6.20.3.2施設等の存在及び供用主要な眺望景観の状況、囲繞景観の状況

意見

供用後の景観価値が概ね下がると評価されています。特に、辺野古前上原公園からの眺めの状況については現況における眺望状況からの変化の程度が大きいとされていますが、その環境保全措置が十分でないことから、保全措置の見直し又は影響回避のための工事計画の見直しを求めます。

意見の理由

眺望への影響を抑えるための措置として、道路高架部の配色への配慮や、周辺自治体等との調整による可能な限りの修景に努めることが示されていますが、その具体的な方策や影響回避の程度については明らかにされていません。影響の回避が不確かなことから、計画の見直しや対策の再検討が必要だと考えます。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.20景観
6.20.3.2施設等の存在及び供用評価

意見

「環境保全措置は講じない」、もしくは「事業者による実行可能な範囲で最大限の低減措置が図られているものと評価しました」と評価されていますが、評価の目標としている沖縄県環境基本計画に示された「良好な自然・農村景観の保全と創造」の推進の観点からは環境保全措置は不十分であることから、より目標に合致する対策を実施することを求めます。

意見の理由

景観の価値は客観的に評価することが難しいものであり、限られた対象者へのヒアリングやアンケート調査だけでは予測、評価が困難であると言えます。特に、代替基地計画のプロセスにおいて関係者に与えた精神的な影響や強硬な計画の押し付けは、その景観を見る人々の心理に大きな影響を及ぼすものであり、表面的な色彩の調和や緑化による修景だけでは影響を回避、軽減できないものであると考えることから、環境保全措置の検討についてより丁寧な検討、実施をお願いします。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.21人と自然との触れ合いの活動の場
6.212予測

意見

代替施設建設区域内は、地元地区住民にとって「地域に親しみがあり愛着がある」(80%)とされている地域との調査結果があります。一方で、代替施設建設により伝統的な行事である「浜下り」として利用される「安部浜」、「二見海岸」が、護岸の工事や埋立により改変され消失します。予測の中では、周辺に地域住民がアクセスできる場所があることから利用状況の変化は小さいとしています。同予測は、上記2つの海岸利用者の歴史的な意味や繋がりを無視したものであり、場所の持つ意味を軽視した予測と考えられます。
同海岸の消失を回避するか、消失を代替する措置について再度検討、実施視していただけるようにお願いします。

意見の理由

辺野古地域の暮らしは現在も身近な自然との繋がりを色濃くとどめています。特に、伝統的祭事、神事の持つ精神性は重要かつ保全、継承を図るべきものであり、容易にアクセスできる海岸が他にもあるという理由は、地域の文化や場所の意味を軽視した評価だと言えます。

意見を述べる分野:
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.22歴史的・文化的環境
6.22.2予測

意見

作業ヤードの改変区域に内にある伝統的な行事及び祭礼等の場「松田の浜」、「東松根前の浜」、「ハーリーの場」の消失に対する環境保全措置を先送りせず、評価書の中でしっかりと示す必要があります。代替性が無いものであるならば、事業計画の見直しを行う必要があります。

意見の理由

評価書では同環境保全措置を周辺自治体等との協議を行い、伝統的な行事及び祭礼等の場の移動先について検討を実施していると示していますが、評価諸段階でしっかりとした議論をし、代替性が不可能な場合は、計画の見直しを含めて検討を行うべきです。

意見を述べる分野 :
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.23廃棄物等
施設等の存在及び供用事後調査及び環境監視

意見

化学物質などを含む有害廃棄物の排出の可能性が懸念されることから事後調査・環境監視をしっかりと行うように求めます。

意見の理由

廃棄物等の事後調査、環境監視は行わないこととなっているが、代替施設においてどのような廃棄物が出るかの想定が十分ではないことから同予測・評価結果をもとに事後調査・環境監視を実施しないことは問題があります。

意見を述べる分野 :
第6章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果6.23廃棄物等

意見

代替施設供用に伴う温室効果ガス等の発生についても調査・予測・評価を行い、その低減措置を講じる必要があります。

意見の理由

温室効果ガスの軽減は国際的に取り組むべき環境保全への取り組みであり、その排出量の予測、現況と比較が行われるべきです。

意見を述べる分野 :
第7章 環境保全措置

意見

環境の自然的構成要素の良好な状態の保持や環境への負荷に関する項目の環境保全措置が、マニュアル等を作成して示すことにより米軍に周知するというものが多く見られます。マニュアル等の作成及び周知による環境保全の担保の実効性は極めて低いことから、より効果的な環境保全措置の検討及び実施を担保する必要が求められます。

意見の理由

供用後の使用者は米軍であり、その行動を事業者が担保出来る仕組みの構築が必要であり、マニュアルによる周知が環境保全措置となるのはあまりにお粗末であると言えます。

意見を述べる分野 :
第8章 事後調査
事後調査工事実施に係るもの(8-1~10)

意見

具体的な監視機材、人数、配置、実施時間帯を記載すべきです。

意見の理由

調査対象種により、時間帯や調査密度など、適切な要件を満たさないデータは無効であり、現状では調査実施の具体的内容が不明です。

意見を述べる分野 :
第8章 事後調査
環境監視調査騒音/低周波音(8-14)

意見

事後調査として、海域での騒音・低周波音の監視調査を実施すべきです。

意見の理由

騒音及び低周波音についは、大気中のみならず、海域の生態系への影響を考慮するため、水中レベルをモニタリングし、適宜対策をとる必要があります。

意見を述べる分野 :
第8章 事後調査
環境監視調査海域生物、海域生態系(8-16)

意見

環境監視調査の対象主としてジュゴン、ウミガメ類を追加し、環境監視調査を実施すべきです。

意見の理由

サンゴ、藻類のみでなく、希少生物種及び指標生物種をモニタリング対象とすべきであり、ジュゴンやウミガメ類などについても監査調査をおこなう必要があります。

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