沖縄・辺野古の埋立て問題:環境アセスと埋立承認申請手続きに関する要請


沖縄県名護市の辺野古沖合では現在、米軍の普天間飛行場の移設先となる軍事施設の建設が計画されています。しかし、工事計画に関する環境アセスメントの内容や問題が、日米両国で十分に認識・共有されているのか、不明なままです。この問題に取り組む市民団体やWWFを含む環境団体は、2014年2月6日、沖縄防衛局に、情報の開示とアメリカとの情報共有及び現状の計画の見直し含む対策を求める要請を行ないました。

調査・検証と影響回避の措置を

現在、米軍の普天間飛行場の移設先とされている、沖縄県名護市の辺野古沖合とそれに続く大浦湾では、ジュゴンなどの希少な野生生物や、豊かなサンゴの群落の生息・生育が確認されており、移設計画による生態系への影響が懸念されています。

この建設工事については、自然環境への影響を事前に評価する「環境アセスメント」も行なわれましたが、現状では懸念される点が多く残されているため、地域の住民による市民団体や、WWFジャパンを含む多くの自然保護団体では、その問題点を繰り返し指摘し、政府に対して、説明を求めてきました。

また、この計画は米軍基地の建設にかかわるものであることから、2008年には、アメリカ国内で同国の国内法に基づき、北カリフォルニア連邦裁判所において裁判も行なわれました。

その結果、アメリカ国防総省に対し、この計画の実施に際して、十分な影響の調査・検証と影響回避措置をとるよう命じる判決が出されています。

また同年、国際自然保護連合(IUCN)の総会でもジュゴンの保護決議が勧告され、国際的な自然保護の課題として、広く認識されるところとなりました。

そうした中、2007年から行なわれてきた、工事計画に関する環境アセスメントの内容や、その過程で確認された問題などについて、日本の防衛局がアメリカに対し、調査資料やデータなどを十分に提供したのかどうか、いまだ不明なままです。

日米両国間で必要な情報や課題が十分に認識・共有されているのか。この問題に取り組む市民団体や環境団体は、2014年2月6日、沖縄防衛局に対し、現計画の問題を踏まえ、アメリカとのやり取りに関する情報の開示、および両国間の情報共有の徹底を行なうよう要請しました。

辺野古崎と大浦湾の海


普天間代替施建設計画の環境アセスと埋立承認申請手続きに関する日米政府の情報交換・共有についての要請

2014年2月6日

沖縄防衛局 局長 武田博史殿

沖縄・生物多様性市民ネットワーク
ヘリ基地いらない二見以北十区の会
北限のジュゴン調査チーム・ザン
沖縄環境ネットワーク
ジュゴン保護キャンペーンセンター
ジュゴンネットワーク沖縄
ヘリパッドいらない住民の会
沖縄のための日米市民ネットワーク
沖縄リーフチェック研究会
憲法9 条メッセージプロジェクト沖縄
日本自然保護協会
(公財)世界自然保護基金(WWF)ジャパン

日米両政府は、生物多様性の豊かな辺野古・大浦湾を埋立て新たな米軍基地を建設す る計画を、沖縄県民の反対の声を無視して強行しようとしています。沖縄防衛局は、環 境アセスの手続きを終え、埋立承認申請書を沖縄県に提出し、現在、沖縄県による埋立 申請承認の審査が行われています。環境アセスと埋立申請手続きの過程を通して、生活 環境や自然環境の保全に関わる様々な問題が露呈されましたが、その状況を日本政府は、 米国政府に対してどのように説明しているのか、また米国側がどのような反応を示して いるか非常に不透明であり、私たちは大きな疑問と懸念を抱いています。

環境アセスでは、1)同計画が沖縄の自然環境と人々の生活環境に多大なる影響を与 える、2)沖縄防衛局の保全措置では自然環境と生活環境の保全は不可能である、との 見解が評価書に対する「知事意見」の中で示されました。埋立承認申請の手続きでは、 県外からの多量の埋立土砂の搬入やそれに伴う外来種侵入の可能性、ジュゴンの食跡が 基地建設予定地に隣接して発見等、新たな問題が指摘されましたが、それらの問題に対 しても沖縄防衛局は何ら実質的な対応策を示せていない状態が続いています。

これまで日本政府が米国国防総省に提供してきた情報は、私たちが把握する限り、米 国の「ジュゴン訴訟」を通して提出された環境アセスの「方法書」からの抜粋(翻訳) と、環境アセスの補正評価書の概要として2013 年2 月26 日に提出された「Futenma Replacement Facility Construction Project: ABSTRACT」です。私たちはこれらの文書を検 証しましたが、文書は「方法書」や「補正評価書」の一部の抜粋でしかなく、知事意見 等で指摘された自然環境や生活環境の保全に関わる問題は勿論、辺野古・大浦湾の環境 の現状さえも、十分かつ正確に伝えるものではありません。

米国において、行政機関である政府は、辺野古・大浦湾における基地建設計画を推進 していますが、立法機関である連邦議会は、この計画の実効性を疑問視し、関連予算を 凍結し続けました。また司法機関である北カルフォルニア連邦地裁は、「ジュゴン訴訟」 において、基地建設を進める国防総省は米国の国家歴史保存法に違反していると判決し、 法を遵守するように命令しています。さらに、米国政府の独立機関である海洋哺乳類委 員会は2009 年の年次報告書で、ジュゴン保護の視点から、米軍が日本の環境アセスを どのように評価したかについて検証し、コメントするとしています。

今、日米両政府に求められていることは、同基地建設が沖縄の人々の生活環境や、自 然環境に多大な影響を与えるものであること、そしてこの計画が強行されれば日米関係 にも大きな禍根を残すということ、を理解することです。その為にも、日米両政府間で の、環境アセスと埋立承認申請の手続きとその内容についての十分かつ正確な情報の交 換と共有が必要です。以上を踏まえて、以下要請します。

    1. 「環境アセス」について、日本政府から米国政府へ提出された文書は「方法書」の 一部抜粋部分の翻訳と『Futenma Replacement Facility Construction Project: ABSTRACT』 以外にもありますか。もしあれば公開して下さい。
    2. 『Futenma Replacement Facility Construction Project: ABSTRACT』は、辺野古・大浦 湾の自然環境と生活環境の現状と、沖縄県, NGO、専門家が指摘してきた自然環境や生 活環境の保全に関する問題について、十分かつ正確に伝えていると考えますか。見解を 示して下さい。
    3. 『Futenma Replacement Facility Construction Project: ABSTRACT』についての米政府か らの反応はありましたか。もしあれば公開して下さい。
    4. 「埋立承認申請」の手続きにおける自然環境と生活環境の保全に関する内容について、 日本政府から米国政府に提出された文書はありますか。もしあれば公開して下さい。
    5. 「埋立承認申請」の手続きでは、2012 年6 月にジュゴンの食跡が基地建設予定地に 接する地点で確認されたこと、埋立土砂がジュゴンの餌場近くにある嘉陽の海岸から採 取されること、県外から埋立土砂を大量に搬入するのに伴い「外来種」の問題があるこ となど新たな問題が露呈しましたが、その問題を米国側に伝えていますか。もし伝えて いるのならば、それを示す文書・資料を公開して下さい。
    6. 「埋立申請承認」の手続きについて、米国政府からは、なんらかの反応がありまし たか。もしあれば公開して下さい。
    7. 環境アセスと埋立申請承認手続きの内容について、米国政府と十分かつ正確な情報の 交換と共有を行い、公開して下さい。

以上

連絡先:

沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304 NPO 法人「奥間川保護基金」事務所内
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
吉川秀樹(090-2516-7969)

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