日本の省エネルギーをさらに進めていくために


東日本大震災で発生した、福島第一原子力発電所の事故は、日本の社会にエネルギーのあり方を見直す大きなきっかけをもたらすことになりました。現在、政府全体として行なっている今後のエネルギー政策の見直しに合わせて、2011年末からは、経済産業省の「省エネルギー部会」でも、議論が始まっています。地球温暖化対策としても大きな役割を担う省エネの取り組み。WWFジャパンは2012年2月23日、省エネルギー部会の報告書に対する意見募集に対して、4つのポイントを指摘しました。

今が正念場!省エネルギー政策のゆくえ

2011年末から、経済産業省の審議会の1つである「省エネルギー部会」において、今後の省エネルギー対策が議論されてきました。

省エネルギーは、今後の新しいエネルギー社会を作っていく上で、極めて重要な役割を担う、柱の1つです。
しかし、現在政府で行なわれている議論は、積極的な省エネ対策を進めていく上では不充分な内容となっています。

しかも、議論の結果として出てきた「中間取りまとめ」案の一部には、せっかく今、公開され、収集することが可能になっている、企業などからの省エネルギーに関するくわしい実績データを、より簡素なものでよいとするなど、「改悪」とすらいえる要素さえ含んでいました。

こうした議論の中心的な場となっている「省エネルギー部会」では、2月、今後の政策の方向性をまとめた「中間取りまとめ」案を発表。これに対するパブリックコメントを、一般から募集しました。

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これに際し、WWFジャパンは、日本の省エネを進める重要な要素として、以下の4つの点を意見書にまとめ、経済産業省に提出しました。(詳しくは、パブリックコメントをご覧ください)

1 省エネルギーの「目標」設定すること
日本では、省エネルギーについての全体目標が設定されていません。中長期(2020年~2050年)の視野で、具体的に「これだけエネルギーの消費量を省エネを通じて削減する」という目標を掲げるべきです。また、効率だけを重視するのではなく、社会全体が総量として使うエネルギーを減らせるように、目標値を設定する必要があります。

2 新規住宅や建築物の「省エネ基準」を義務化すること
一般的に日本は省エネが進んだ国と思われがちですが、国際的にも大きな遅れが指摘されている分野があります。それは、住宅や建築物そのものの省エネ基準です。「中間取りまとめ」では、今後、段階的に2020年までに省エネ基準を義務化していくことが提案されていますが、欧州などでは、既に現時点で日本よりも厳しい水準で義務化されています。どんなに遅くとも、2015年までに新築については義務化を行なうべきです。

3 産業分野も引き続き省エネ政策を強化すること
「産業の省エネは乾いた雑巾」とよく言われます。しかし、オイルショック後から90年程度まではともかく、この20年間、産業全体の効率の改善が鈍ってきています。また、一部の産業では、新興国に最新の高い効率を誇る工場が多く新設されているので、今後の傾向を考えれば、決して悠長に構えていることはできません。日本の産業自体のためにも、多くのエネルギーを消費する産業部門が、より積極的に省エネを推進するよう、規制や基準を設け、後押しする必要があります。

4 工場の省エネ情報が利用不可能になるような法律の改悪をしないこと
現行の「省エネルギー法」で各企業などから集めている、エネルギー消費量のデータは、今後の省エネ対策を強化していく際の基礎データとして、極めて重要な材料です。この法律を変え、情報を体系的に収集する仕組みを停止しようという動きがありますが、このような改悪は、情報を出す側に利便をもたらすだけで、省エネをむしろ阻害します。

 

3月1日、パブリックコメントの結果が公表され、4番目の「改悪」については免れ得ることが明らかになりました。しかし、他の3点については、改善は図られていないので、今後の議論でさらに強調していく必要があります。

WWFジャパンでは、日本が取り組む温暖化対策の大きな柱として、「省エネルギーの推進」と「再生可能な自然エネルギーの普及」の二つを進めるべきと考えています。

これによって、社会全体が使っているエネルギーを「削減」しつつ、必要なエネルギーを環境に負担をかけない形で「供給」することができるからです。
今後さらに進むことになる、国内でのエネルギー政策をめぐる議論に、注目してゆきます。

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