「持続可能な金融規制と中央銀行の活動 (SUSREG)」の評価結果

この記事のポイント
2022年12月、WWF は44 の国と地域における持続可能な金融規制と中央銀行の活動を評価する SUSREG アセスメント(2022年版) の調査結果に基づく新しい報告書を公表しました。先進的な取り組みもある一方で、ネイチャーポジティブ(生物多様性の回復)とネットゼロ(温室効果ガス排出ゼロ)の達成に向けた取り組みとしては、まだ課題が多くあることが分かりました。

気候変動分野で取り組みが進む一方、自然分野で遅れ

2022年12月、WWF は44 の国と地域における持続可能な金融規制と中央銀行の活動を評価する SUSREG アセスメント(2022年版) の調査結果に基づく新しい報告書を公表しました。

「持続可能な金融規制と中央銀行の活動 (SUSREG)」報告書全文(英語のみ)
「持続可能な金融規制と中央銀行の活動 (SUSREG)」報告書全文(概要版)(英語のみ)

今回の調査対象となった国と地域のGDPは、全部合わせると世界全体の88% 以上、温室効果ガスの排出量についても世界全体の 72% を占めています。

また、世界で最も生物多様性が豊富な 17 か国のうちの 11 か国もふくまれています。

調査結果では、銀行と保険の持続可能性に関する規制、ガイダンス、開示/報告に関し、いくつかの前向きな進捗もある一方で、不十分な点も見られました。

前進した点と不十分な点

© Shutterstock – Terrance Emerson
  • 調査対象の国・地域のうち 88% が、気候リスクを考慮した銀行業への規制および監督上の期待事項を策定・公表している (保険に関する規制については 79%)。気候変動への配慮は、金融機関の事業戦略やリスク管理上の意思決定プロセスやポリシーに組み込まれることがますます期待されている。しかし、自然の損失を含むより広範な環境リスクの取り込みはまだ十分ではない。
  • 気候変動の影響と脱炭素経済への移行によるリスクの義務的な開示に対する要求が高まっている (調査対象の国・地域の 83% が銀行からの気候関連の開示を要求)。しかし、より広範な環境関連の情報開示は遅れをとっている。環境影響の測定と透明性のある報告だけでは、必要な規模と速度で変化を達成するには不十分である。
  • 中央銀行と金融監督当局は、気候変動と持続可能性の戦略とロードマップの公開を進めている。しかし、多くの場合、期限付きの計画を実施していない。信頼でき、野心的である義務を伴う計画は、気候変動の緩和を加速し、自然損失を食い止め、回復するために不可欠である。

中央銀行と金融監督機関(金融庁)に対する期待

今回の報告書を通じ、WWF は、中央銀行、保険業に対する監督を含む金融監督当局に次のことを求めています。

  • 信頼でき、野心的である義務を伴う計画を実施し、気候変動の緩和を加速し、自然損失を食い止め、回復すること。こうした計画は、金融市場関係者に必要な指針を提供し、2025 年、2030 年、2050 年に向けて、すべての中央銀行、金融規制、および監督活動を網羅する明確で、定量的で、法的拘束力のある気候変動と生物多様性の目標を伴わなければならない。
  • 「常に環境に有害な」経済活動は最も高い財務リスクを意味するため、金融政策と金融規制はこうした企業、セクターによる経済コストと財務リスクをより適切に反映するようにすること。環境に有害な活動に関与する企業に融資している金融機関は、関連する長期的なリスクを考慮して、はるかに高い資本要件に向き合う必要がある。

WWFのSUSREG報告書2022の執筆者であるアダム・ング博士は、次のように述べます。

「私たちは、気候の転換点を越えることも、生態系の崩壊を起こす余裕もありません。政府や市民社会とともに、金融監督当局、規制当局と中央銀行は言い訳や遅滞なく、生物多様性の損失を元に戻すために、即時かつ広範な影響を与える必要があります。」

WWFは今後も、脱炭素社会の実現と生物多様性の保全における中央銀行と金融監督当局の果たせる大きな役割に注視し、提言を行なっていきます。

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