【現地報告】生物多様性条約COP17開幕~残された4年、実施を加速できるか
2026/10/19
- この記事のポイント
- 2026年10月19日、生物多様性条約第17回締約国会議(CBD-COP17)がアルメニア・エレバンで開幕しました。今回の最大の焦点は、2030年までに自然の損失を止め回復軌道に乗せることを目指す「昆明・モントリオール生物多様性枠組(KM-GBF)」の初めてのグローバルレビューです。世界的に取り組みの遅れが指摘される中、進捗を確認するだけでなく、各国や企業、社会全体の行動強化につなげられるかが問われています。会議には各国政府、国際機関、NGO、先住民族・地域社会、企業関係者など1万人以上が参加し、今後2週間にわたり議論を展開します。WWFも現地にスタッフを派遣し、提言活動と情報発信に取り組みます。
始まったCBD-COP17 ~問われる世界の生物多様性保全の取り組み
2026年10月19日、アルメニアの首都エレバンで、生物多様性条約第17回締約国会議(CBD-COP17)が開幕しました。
2022年のCOP15で採択された歴史上最も野心的な生物多様性保全の国際目標とされる「昆明・モントリオール生物多様性枠組(KM-GBF)」は、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の実現を目指しています。
今回の会議では、このKM-GBFの中間評価にあたる初めての「グローバルレビュー」が行なわれ、世界の生物多様性保全の現在位置を確認します。
進捗の遅れが指摘される中、このグローバルレビューをいかに進捗評価で終わらせずに、行動の強化につなげるかが最大の焦点です。
COP17の舞台となるエレバンの会場には、各国政府代表をはじめ、国際機関やNGO、先住民族と地域社会の代表、企業関係者など、1万人を超える参加者が世界各地から集まる見込みで、今後2週間にわたって集中的な議論が行なわれます。

エレバンのCBD-COP17会場
『グローバルレポート』とリーダーズサミットの指摘
今回のグローバルレビューの基礎となる報告書『グローバルレポート(State of Biodiversity Action)』では、23のターゲットのほとんどで進捗が不十分であり、このままでは2030年目標の達成が困難であることが示されています。
【関連リンク】State of Biodiversity Action(生物多様性条約のサイト)
各国では現在、KM-GBFの目標達成に向けて、さまざまな取り組みが行なわれていますが、今の規模とスピードでは、生物多様性を回復させる、という目標の達成には、不十分であるということです。
特に、生物多様性損失の根本要因となる経済・社会システムに関わる分野で遅れが目立ちます。

リーダーズサミットで演説するアルメニアのニコル・パシニャン首相。国内における森林破壊や過剰漁獲からの回復の歴史と、自然豊かな未来への希望を語った。
COP17に先立ち10月16日に開催されたリーダーズサミット(The Leaders’ Summit on Biodiversity)では、各国首脳や国際機関の代表が、生物多様性目標の達成に向けた進捗が十分ではなく、残された期間で実施を加速する必要性を訴えました。
その中で特に求められているのは、保全のための資金を増やすだけでなく、現在も自然を破壊する経済活動に流れている圧倒的に多くの資金や政策を見直し、生物多様性に資する方向へ転換することです。

WWFインターナショナルのアディル・ナジャム総裁は、リーダーズサミットの場にて「将来世代に対する約束の信頼性は、過去の約束を守ってきたかどうかにかかっている」と訴えた。
これからの生物多様性保全の道筋を明らかにするために
目標や解決策はすでに示されています。その中で、KM-GBFで掲げた約束を達成するためには、世界の国々がグローバルレビューを具体的な行動強化につなげることが不可欠です。
COP17で問われているのは、その実施のスピードと規模を飛躍的に高めることです。
これから2週間にわたる交渉と議論を通じて、それを実現するための明確な道筋を示せるかが、会議の成否を左右します。
WWFでは会議期間中、会議の成功のためにさまざまな活動や情報発信を行ないます。現地からの発信にもぜひご注目ください。
【参考記事】『Yerevan Declaration recognises not enough biodiversity action but leaves key commitments unresolved』(WWFインターナショナル・プレスリリース2026年10月16日)
【関連情報】リーダーズサミットについて
2026年10月16日に開催されたリーダーズサミットでは、各国首脳による政治宣言として「エレバン宣言」が発表されました。宣言は、KM-GBFの進捗が不十分であり、実施の加速が必要であるという認識を共有しました。一方で、宣言には、実施に必要な資金の確保や、自然に有害な補助金などのインセンティブの改革を含め、経済・金融に関する意思決定を自然に関する目標と整合させるための具体的なコミットメントが欠けているとWWFは考えています。COP17における議論では、各国政府がグローバルレビューを、必要な規模の資金に裏付けられた明確な実施への道筋へとつなげなければなりません。
「エレバン宣言」全文(生物多様性条約のサイト)
The Leaders’ Summit on Biodiversityについて(生物多様性条約のサイト)
