ツキノワグマの狩猟自粛を求める要望書を提出
2010/12/08
夏以降、例年よりも多くのツキノワグマが人里へ降り、捕殺されるケースが相次いだ2010年。公式な統計の数値だけでも2,300頭あまりが捕殺されました。WWFは、11月15日に国内の狩猟が解禁を迎えたことを受け、今シーズンについては、ツキノワグマの狩猟の自粛と、可能な限りの捕殺回避を、クマが生息している関係都府県に呼びかけるよう、環境省に対して求めました。
狩猟シーズンの始まりに際して
2010年12月8日、WWFジャパンは、環境大臣あてに「ツキノワグマの狩猟自粛等の呼びかけに関する要望書」を提出しました。
2010年は、夏以降に例年よりも多くのツキノワグマが人里へ降りてくるケースが相次き、すでに公式な統計がまとまっているだけでも2,300頭あまりのツキノワグマが捕殺されています。
また、11月15日には、国内の鳥獣類の狩猟も解禁となりました。ツキノワグマは、絶滅のおそれのある地域では、狩猟が禁止されていますが、それ以外の地域では、狩猟の対象とされています。
そこで、WWFジャパンでは、環境省自然環境局鳥獣保護業務室を訪問し、すでに捕殺数の多い今シーズンについては、ツキノワグマの狩猟の自粛と、可能な限りの捕殺回避を、クマが生息する関係都府県に呼びかけるよう求めました。
大量出没を繰り返さないために
特に、近年は2~4年ごとにツキノワグマの大量出没がくり返し起きています。
たとえ、今回捕殺数を減らすことが出来たとしても、2年後に再び多くのツキノワグマが捕殺される、とうことが繰り返されるのでは、問題は解決しません。
こうした事態を回避してゆくためにも、2011年度から、国としての対策を強化しておく必要があることも、併せて伝えました。
提出した要望書の主な内容は以下のとおりです。
- 現在、まだツキノワグマの狩猟自粛を決めていない自治体に対して、早急に検討・実施するよう呼びかけること
- イノシシ罠などへ錯誤捕獲されたクマや、人身被害・著しい農作物被害を出していないクマは、可能な限り殺処分せず、学習放獣(捕らえて脅かしてから山に放す)することの徹底を図ること
- 捕殺を必要最少限にとどめるためにも、ツキノワグマに関する「特定鳥獣保護管理計画」をまだ定めていない都府県に対して、早急に着手・策定するよう、呼びかけること
12月に入り、各地でツキノワグマが冬眠に入るとともに、出没のニュースも少なくなってきています。
しかしWWFは、出没の起きていない時期こそが、関係者が冷静に話し合い、何年後かに再び起こる可能性の高いツキノワグマの大量出没への対策を進める貴重な時間であると考えています。
WWFは今後も、行政や日本クマネットワーク(JBN)の研究者の方々と連携しながら、ツキノワグマとの共存をめざすための現実に即した対策が進むよう、支援を続けていく予定です。