2017年「大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)」年次総会、開幕


記者発表資料 2017年11月13日

大西洋クロマグロの大幅な漁獲枠引き上げに警告

1)日本は、大西洋クロマグロの最大の輸入国であり、漁業国

2)枯渇の危機にあった大西洋クロマグロの資源量は、2012年頃に回復傾向が確認された。その後、徐々にTAC(総漁獲可能量)が引き上げられ、2017年は23,655トンで各国は合意した。

3)2017年10月、ICCAT科学委員会は「大西洋クロマグロの資源量はまだ完全に回復していない」としつつも2018~2020年の総漁獲枠を、2015年の倍以上の36,000トンまで引き上げ可能と報告。

4)これを受け、11月14日にモロッコのマラケシュで開かれる第25回ICCAT年次会合では、大幅な総漁獲枠の引き上げが提案される。しかしWWFはこれに懸念を表明、28,000トンに留めるよう求めている。また、違法・無報告・無規制で行われる「IUU漁業」に対する措置の強化や、回復後の長期的な視点での管理計画策定、小規模漁業者への割り当て拡大等も求めている。

2017年11月13日、世界自然保護基金(WWF)は、「大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)」に対し、大西洋クロマグロの総漁獲枠の大幅な引き上げには慎重になるよう求めるポジションペーパーを公表しました。

11月14日開幕のICCAT年次会合では、10月に行われたICCAT科学委員会による「2015 年の総漁獲枠から2倍以上の増枠が可能」との報告を踏まえた議論を経て、最終的な総漁獲枠が決定されます。

大西洋クロマグロは、10年来の厳しい漁業管理措置と総漁獲枠の削減により、2012年の委員会では回復傾向が確認されました。以来、地中海を含む大西洋地域のマグロ類の資源管理を行なう国際機関であるICCATは、その回復水準に応じて総漁獲枠を徐々に拡大してきました。

しかし今年のICCAT年次会合には、2015年の総漁獲枠から倍以上の増枠となる36,000トンへの引き上げや、2007年に採択された2022年までの資源回復計画の終了時期の前倒し等が提案されています。

WWFは、大西洋クロマグロの資源回復は未だ不完全であるとし、懸念を表明。
大幅な総漁獲枠の引き上げは、安定的に回復してきている資源量を、再び減少させる恐れがあると指摘し、ICCATに対し次の要請を行ないました。

  • 2018年の大西洋クロマグロの総漁獲枠の引き上げを28,000トンに留めること
  • 2007年に採択した資源回復計画は予定通り2022年まで遵守すること
  • 地中海で今も横行する、違法・無報告・無規制の漁業(IUU漁業)に対する措置の強化
  • 小規模漁業者への漁獲枠割り当ての拡大 ほか

WWFジャパン海洋水産グループ長の山内愛子は、次のように述べています。
「大西洋クロマグロの消費量が最も多い日本にとって、一時期枯渇状態にまで陥った資源が、長期回復計画に従って順調に推移していることは、大変喜ばしいことです。しかし、確実に持続可能なレベルにまで回復に至ったと科学委員会が判断するまでは、十分に予防的なアプローチをとる必要があると考えます」

「さらに日本の流通関係者は、二度とこの資源を枯渇させないために、責任ある調達に努め、管理措置を順守している、持続可能な漁業由来の大西洋クロマグロだけを扱っていけるよう、積極的に取り組む必要があると考えます」

短期的な利益を求めるのではなく、大西洋クロマグロの確実な資源回復と、長期的に利用し続けるための持続可能な漁業管理が強く求められています。

ICCAT科学委員会による、東部大西洋および地中海のクロマグロ総漁獲枠の推移

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