2013年 国連気候変動ボン会議報告会を開催!


2013年6月3日~14日の期間で、ドイツ・ボンにおいて、国連気候変動会議が開催されました。今回の会議は、11月にポーランド・ワルシャワで開催されるCOP19・COP/MOP9(国連気候変動枠組条約第19回締約国会議及び京都議定書第9回締約国会議)の準備会合的な位置づけになります。WWFジャパンは、今回も同会議に参加し、他のNGOとの共催で、2013年7月2日、報告会を都内で開催しました。

これまでの気候変動交渉の経緯

地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)・土田道代氏から、まずこれまでの気候変動交渉の経緯について、説明がありました。

国際社会が温暖化問題に対する取組みを始めたのは、1992年の国連気候変動枠組条約が初めてであり、その後、1997年の京都議定書をもって、その第一歩を踏み出しました。

その後、京都議定書の「次の」国際的な取組みのための枠組みを作るため、2009年のデンマーク・コペンハーゲンでのCOP15・COP/MOP5での合意が目指されましたが、残念ながら交渉は合意には至りませんでした。その後、再度、交渉が組み立てられ、現在のダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)において、2015年の合意を目指して、交渉が行われています。

ダーバン・プラットフォーム作業部会(ADP)の議論の概要

報告会の様子

CASA・土田道代さん

次に、気候ネットワーク・伊与田昌慶氏から、今回の会議の主要な議論が行われたダーバン・プラットフォーム作業部会(ADP)についての解説がありました。

ADPの議論は、2020年から始まることが予定されている新しい国際枠組みを2015年に合意する、という「2015年合意」と、それまでの各国の排出量削減の取組みを強化する「2020年までの野心強化」という2つのワークストリームに分けて議論が行われています。

今回は、「2015年合意」については、合意の要素として何が入るのか、各国の削減目標をどのように決めるのかについての議論がされました。

また、「2020年までの野心強化」については、どのように各国の「野心」(排出量削減の取組み)を引き上げていくのかについての議論がありました。

2013年のCOP19・COP/MOP9は11月にポーランド・ワルシャワで開催されますが、それまでに、日本が「野心の引き下げ」(削減目標の引き下げ)を行えば、こうした「議論に水を差す」ことにつながりかねません。

SBI38・SBSTA38の議論

3番目に、WWFジャパン・山岸から、その他の議論が行われたSBI(実施のための補助機関)およびSBSTA(科学的および技術的助言に関する補助機関)という2つの補助機関の会合についての解説がありました。SBIやSBSTAは、やや細かい制度的・技術的な論点を議論するための場です。

気候ネットワーク・伊与田昌慶さん

ボン会議会場の様子

SBIは、ロシア、ウクライナ、ベラルーシが、2012年のドーハ会議(COP18・COP/MOP8)での決定を不服として、独自の議題案に固執したため、議題の採択もままならず、実質的な議論は何も行うことができませんでした。

それによって、気候変動による「損失と被害(loss and damage)」に対応するための制度議論等が進まないなど、いくつかの分野に深刻な遅れをもたらしてしまいました。

また、SBSTAの方では、市場メカニズムの議論で対立が続き、既存の対立が続いていたようです。日本にとって重要なのは、「様々な手法のフレームワーク」というトピックでの議論の趨勢如何では、日本が独自に進めている「二国間オフセット・クレジット制度」が、国連の下での認知を得られるかどうかが変わってくるという点にあります。

WWFジャパン・山岸尚之

個別の論点では引き続き11月のCOP19・COP/MOP9で議論されるものが多くあります。全体としては、SBI・SBSTAの議論が、最終的に「2015年合意」の中に、どのように結実していくのかも、現段階では曖昧であり、どのようになるか分かりません。

途上国の森林減少と劣化からの 排出の削減等(REDD+)に関する論点

今回、SBSTAに含まれる議論の中で特に進展が著しかったのが、途上国の森林減少と劣化からの排出の削減等(REDD+)と呼ばれる分野の議論でした。この分野に関して、コンサベーション・インターナショナル(CI) ジャパン・山下加夏氏から解説がありました。

REDD+は、世界全体の温室効果ガス排出量を削減していく上では、取組みが必要不可欠な分野です。また、一部の国では、森林分野こそが対策の主な領域となるところもあるので、その意味でも、この分野についての取組みは重要です。

今回の会議においては、「森林モニタリングシステム」「セーフガード」「森林減少の要因」「測定、報告、検証(MRV)」「参照排出レベル/参照レベル」「非市場アプローチ」「炭素以外の便益」という7つものトピックがありましたが、これら全てについて、一定の進展がみられたことは大きな意味があります。

CIジャパン・山下加夏さん

ただし、1つのネックとなっている資金支援という論点は引き続き残っている上、この論点はREDD+という分野だけ先行して議論を進めるわけにもいかないため、今後、さらなる交渉が必要です。

ワルシャワ会議へ向けて

報告会の会場には80名弱が参加して下さり、Ustream中継でも多くの方々が視聴くださいました。

質疑応答では、ADPにおける途上国のスタンスや、途上国のグループの中での意見の違いなどにも質問が出て、この交渉の難しさと共に、日本が果たすべき役割の重要性についての認識が深まりました。

今回の会議の後、11月のワルシャワ会議までは、公式な国連気候変動会議での交渉は予定されていません。日本は、この間に、国内での気候変動対策の議論を充実させ、ワルシャワ会議が大きな前進を見せることができるように準備しなければなりません。

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