シベリアトラの生息地で、継続的な森林管理の実施を!


シベリアトラが生息する極東ロシアの森で、2013年7月、違法伐採グループが逮捕されました。これは、WWFロシアが、複数の地方森林局と協力して森林保護と違法行為の阻止に取り組んできた結果です。しかし、今回の逮捕は違法伐採の氷山の一角に過ぎず、今後も継続的な森林管理を行なっていく必要があります。

違法伐採の実態が明らかに

沿海地方からシベリアに向かって広がるロシア極東地域の森林は、針葉樹と広葉樹の織り交ざった、世界的にもその豊かさが知られる森です。

ここは、シベリアトラ(アムールトラ)やアムールヒョウをはじめ、ヒグマ、ツキノワグマ、エゾシカといった野生生物の生息域であり、豊かな資源を人にもたらす恵みの森でもあります。
しかし、この森では近年、組織的なものを含めた違法伐採が続いており、自然環境への影響が懸念されてきました。

WWFロシアの主導により、2013年7月、沿海地方とハバロフスク地方の森林局による合同強制捜査が初めて行なわれました。3日間にわたる捜査の結果、340立方メートルの高級木材(150万米ドル(1億5千万円)相当)が違法伐採されたことが判明しました。

今回の捜査では、2つの違法伐採グループによる不法行為の現場を差し押さえ、4台のトラクターを押収、ハバロフスク地方出身の4人を逮捕することに成功しました。

違法伐採グループでは各メンバーが役割分担をしており、組織的に伐採を行なっています。4人の内1人は伐採作業者、もう1人はトラクター運転手、他の2人は料理役と「カッコウ」と呼ばれる見張り役です。

「カッコウ」は見張り小屋に待機し、脅威を察知した際に他のメンバーにすぐに知らせます。

WWFロシアと地方森林局との協力体制の充実

WWFロシアのアムール支部は、持続可能な森林管理の推進と、違法行為から森林を保護することを目的とした協力の合意を、ハバロフスク地方の森林局と2011年に交わしました。

それ以来、シベリアトラの生息域における森林資源の違法利用を防止するために合同捜査を定期的に行ない、その効果を高めてきました。

WWFロシアのスタッフの長年にわたる経験と専門性に加え、衛星回線を使った機器やGPS、オフロード車、カメラなどを駆使することで、違法伐採の現場に迅速に向かうことが可能になったのです。

その結果、違法伐採の証拠を差し押さえ、「闇」組織を摘発することで、違法行為に対処することができるようになりました。

WWFの専門家によると、沿海地方とハバロフスク地方、この二つの自治体が境を接する区域は、違法伐採者にとって最も盗伐を行ないやすい地域になっています。

ハバロフスク地方当局が2013年7月に行なった別の捜査で、違法伐採者がこの2つの地方自治体の間を、頻繁に往来していることがわかりました。

捜査に参加したメンバーによると、2台のトラクターがハバロフスク管内から、沿海地方へ境界を越えて逃亡したようですが、ハバロフスク地方の森林調査官の権限は同地方内に限られるため、それ以上の追跡はできませんでした。

こうしたことから、今回、両地方の森林局と警察が初めて合同で捜査を実施することを決定したのです 。

さらなる協力に基づいた
森林保全の推進を

WWFロシア・アムール支部の違法伐採対策プロジェクト・コーディネーターであるアナトリー・カバネッツは、合同捜査結果の意義について次のように述べています。

シベリアトラ

ハバロフスク地方で拘束された違法伐採者。

ハバロフスク地方森林局の担当者が「カッコウ」の見張り小屋を発見。

隠されていたトラクター。

違法伐採されたナラとタモ。

「今回の捜査により、違法伐採グループがいつまでも罰せられることなく行動できるという幻想を打ち砕くことができました。一方で、二つの地方の捜査権の隙を突くという抜け穴が明らかになり、一刻も早く対処しなければなりません」

またカバネッツは、WWFロシアがハバロフスク地方の森林局と交わした森林保全のための協力合意が、沿海地方の森林局とも締結することができれば、それがこのロシア極東地域での森林問題を解決する新たな一歩になる、としています。極東ロシアの違法伐採は、ナラやタモといった広葉樹では50%にも及ぶという推計もあり、主に丸太や製材として中国に輸出されていると考えられています。

そして、中国で家具や建材などの最終製品に加工された違法材は、中国国内および日本を含む世界のマーケットに流通している可能性があります。

WWFは、今後も森林環境と資源への配慮に対し、積極的な姿勢を見せている企業などと協力し、木材の「責任ある購入」を推進していきます。

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