2030年までに40~50%削減を CAN-Japanが日本の目標提案を発表


2014年9月12日、WWFジャパンも参加している日本の気候変動NGOのネットワークClimate Action Network Japan (CAN-Japan)は、新たな日本の温室効果ガスの排出量削減目標について、提言を発表しました。これは、日本政府に対し、2030年までに排出量を1990年比で40~50%削減をする目標を提案するものです。2015年12月に予定されている国連の会議(COP21)において、2020年以降の新しい温暖化の国際枠組みを着実に成立させるためにも、日本も自国の貢献のあり方について議論を活性化させていくことが求められています。

各国に求められている気候変動対策の目標

2014年に発表された、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書は、気候変動の進行が加速し、異常気象など様々な影響が深刻化している事実を改めて示しました。

そうした影響を抑えるために、国連の温暖化に関する国際交渉においては、産業革命以降の地球の平均気温の上昇を「2度」未満に抑えることが目指されていますが、IPCCは、各国による現状の対策では不十分であることを指摘しています。

早急に対策を強化し、伸び続ける排出量を、なるべく早期に減少傾向に転じ、世界各国が協力して、大幅な削減に取り組むことが急務です。そのため、2013年11月に開かれた国連の気候変動会議(COP19)では、2015年3月までに国別の目標案(intended nationally determined contributions)を提出することを呼びかけました。

これらの目標案を基に、半年かけて協議して、2度未満に気温上昇を抑えるために必要な削減量に少しでも近づけ、最終的に2015年のCOP21で新たな国際枠組みの目標としようという意図です。

したがって、各国の国別目標案の比較検討に十分な協議の時間をとれるように、日本を含む世界の国々が、2015年の3月までに国別の目標案を提出することが非常に大切なのです。

日本政府も、こうした国際的な対応の中で、先進的な役割を果たすために、早期に検討を開始し、2015年3月までに遅滞なく目標草案を発表することが求められます。

また、その検討の過程において政府は、市民やNGOを含む、さまざまなステークホルダーから意見を集め、協議を行なう機会を設定することも、求められる重要な点です。こうした意見聴取や協議の場を設けることで、幅広い意見を反映しつつ、気候変動問題の解決に着実に貢献できる目標の発表へとつなげてゆかねばなりません。

1990年比で40~50%削減を!CAN-Japanによる提案

そうした中、日本で気候変動問題に取り組むCAN-Japan(Climate Action Network Japan)は2014年9月2日、新たな日本の温室効果ガスの排出量削減目標について、提言を発表しました。

2015年末に合意される予定の「2020年以降の新しい国際枠組みの成立」に向けて、日本が積極的な役割を果たす、そのためには、気候変動対策の核となる、温室効果ガス排出量の削減について、野心的な目標を掲げ、実施していくことが必要です。

具体的には、日本が掲げる2030年に向けての気候目標として、以下を提案します。

温室効果ガス排出量を、2030年までに1990年比で40~50%削減する(2010年比41~51%削減)

この提案にあたっては、CAN-Japanは3つの視点を考慮しました。

参議院議員会館で行われた特別シンポジウムで発表されました。登壇したWWFジャパン・山岸尚之(左)、中野 潤也氏(外務省気候変動課長・中央)、平田仁子氏(気候ネットワーク理事・右)。

  • 1) 気候変動を抑制するために「グローバルに必要な」削減水準はどれくらいかという視点。これは、最も重要な視点であり、次の2つの前提ともいうべき視点です。
  • 2) 他の国々と協力して気候変動を抑制しようと考えた時、何が日本にとって「衡平な」削減水準であるかという視点。
  • 3) 日本がどれくらい削減できるかという「削減ポテンシャル」の視点

特にCAN-Japanは、昨今の議論で軽視されがちな、特に前2者の視点、つまり「グローバルな必要性」と「衡平性」の2つに重きを置きました。

WWFジャパンを含め、CAN-Japanに参加する団体は、本提案が、日本での2030年に向けた気候目標を活性化し、気候変動対策全般の議論が再び活性化することを期待しています。

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