キバウミニナを探せ!市民参加による「名蔵アンパル」の調査支援


沖縄県石垣島のWWFサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」では、島の西部にある干潟で、国際的にもその重要性が認められている「名蔵アンパル」で、地元の自然保護団体「アンパルの自然を守る会」の支援に取り組んでいます。2014年11月からは、市民の参加を得て行なわれた、干潟とマングローブに生息する巻貝キバウミニナの調査にも参加。これらの取り組みは現在、WWFが目指している、八重山地方各地での環境保全活動のネットワークの一つとしても、今後の展開が期待されています。

世界に知られる「アンパル」の自然

九州南端から台湾にかけて連なる、沖縄を中心とした南西諸島の島々。
その景観は「東洋のガラパゴス」とも呼ばれ、世界の他の地域には類を見ない、独自性と豊かさに恵まれた地域です。

WWFジャパンでは、この南西諸島の沿岸生態系を守るための取り組みとして、地域の方々と連携した保全活動づくりを手掛けています。

その一つとして、WWFが2000年に石垣島・白保に設立した、WWFサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」では、島西部の干潟「名蔵アンパル」で活動を続けている、地元の自然保護団体「アンパルの自然を守る会」によるガイド養成講座の支援を行なっています。

「名蔵アンパル」は、国際的な湿地保護条約である「ラムサール条約」登録湿地にもなっている、世界的にもその貴重さが認められている干潟とマングローブの自然。

この講座では、そんなアンパルの自然の知識と仕組みを理解し、伝えることができる人材育成をめざして、各回ごとに魚やエビ・カニ、鳥などさまざまな野生生物についての専門家を講師に招いて、学習プログラムを行なってきました。

石垣島・名蔵アンパルの景観

キバウミニナという動物

また、同会では継続的に、アンパルの干潟をテーマにした調査や普及活動も実施。
2014年からは、市民参加型の生き物調査として、アンパルに生息するキバウミニナの調査にも取り組んでおり、WWFジャパンもこれを支援しています。

このキバウミニナは、大きさ10㎝ほどになる、マングローブに生息する最大の巻貝で、ヒルギ類の群落であるマングローブの森に主に生息し、その固い落ち葉を食べ、分解しているため、マングローブの生態系の中で、重要な役目を担っています。

日本では、沖縄本島北部と石垣島、西表島、小浜島で生息が確認されていますが、このうち、自然に分布している地域は、西表島及び小浜島のみ。

石垣島では、貝塚から殻が出土していることから、かつては生息していたようですが、その後、絶滅したとされていました。

ところが、1980年代の終わりから90年代にかけて行なわれた調査の結果、アンパルにこのキバウミニナが生息していることが明らかになりました。

1970年代の調査では確認されていなかったことから、これは比較的近年になって、地元で獲られているカニの一種ガザミを増やすために、エサとして西表島から持ち込こまれた可能性が高いと考えられています。

調査の様子。アンパル湿地のマングローブの中をすすんでいきます。

身を出しているキバウミニナ

市民参加を得た調査活動

現在、アンパルでは、このキバウミニナが分布範囲を拡大していると考えられているため、「アンパルの自然を守る会」では、2014年時点での分布を把握するべく、市民参加型調査を実施しています。

2014年11月には、その第一回目が行なわれました。

この調査では、陸班と川岸班の2班に分かれてキバウミニナを探しながら歩きました。

分布の広がりを記録するため、コースの要所でポイントを設置し、GPSで場所を登録。写真を撮り、底質や植生など周りの様子を記録してゆきます。

また、いくつかのポイントでは、1メートル四方の地面に、何匹のキバウミニナがいるか、その密度を計測しました。

この時の調査では、11月上旬であったにもかかわらず、本来は夏に卵を産むキバウミニナの産卵を見ることができました。

さらに、マングローブの森を形成するヒルギ類の中でも、特にヒルギダマシの茂っている場所では、殻口の厚い成長した貝にもかかわらず、サイズが極端に小さい個体が見つかるなど、ちょっとした発見もありました。

マングローブの森を形成するヒルギの木の葉を食べます

1m四方にいるキバウミニナの数を数えます

活動の広がりをめざして

調査は、市民参加型ということもあり、幼稚園児からお年寄りまでの幅広い世代の方の参加を得て行なわれました。

特に子どもは、大人が入れないような丈の低いマングローブの間をスルスルと入りこみ、キバウミニナを見つけるなど、大活躍でした。

参加者の皆さんからは、「なかなか足を踏み入れることのない、アンパルの奥の方にある、オヒルギ林まで見る機会となってよかった」「みんなの目で見ることの大切さがわかる調査だった」「キバウミニナをきっかけとしてヤドカリとかいろいろな生き物がいることに気付いた」など、関心を深めていただけたことがうかがわれる感想が聞かれました。

この調査結果は、今後、アンパル干潟の生物の分布を調べ、比較してゆく上でも貴重なデーとなる可能性が期待されます。

WWFでは今後、こうした活動が、実際の保護活動に活用されることはもちろん、生物相の豊かな八重山地方で行なわれている、他の多くのさまざまな環境保全の試みともつながりを持ち、新たな活動とネットワークに発展することを期待し、支援を続けてゆきます。

河口近くではキバウミニナの貝をかぶったヤドカリも多いので、キバウミニナかどうか確かめながら数を数えます

産卵しているキバウミニナ。木についているミミズみたいなものが卵

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