その数1,864頭 ジャイアントパンダの最新の推定個体数


2015年2月28日、中国政府は野生のジャイアントパンダの推定個体数について、最新の調査結果を発表しました。それによると、推定された個体数は1,864頭で、2003年に推定された約1,600頭よりも、増加の傾向にあります。調査では同時に、生息域の拡大も確認されましたが、鉱山や水力発電、観光などの開発も広がっており、今後、ジャイアントパンダの生息環境を保全する上で、問題が深刻になっていることも指摘されました。

確認された1,864頭

今回の中国国家林業局による調査は、ジャイアントパンダの分布域である四川省、甘粛(かんしゅく)省、陝西(せんせい)省の山岳域において、2011年から行なわれたもので、その結果は、2003年からの約10年間で、約260頭の増加を示すものとなりました。

前回の調査で発見できなかった個体が、今回あらたに確認された可能性も考えられますが、繁殖力が決して強くない野生のジャイアントパンダの推定個体数が、減少に陥らず、保護活動の成果が認められた点は、歓迎すべきことです。

また、この調査ではジャイアントパンダが生息するエリアについても、10年前と比較して、拡大の傾向にあることが判明。

その面積は、257万7,000ヘクタール(四国の約1.4倍)で、2003年と比較し、11.8%拡がっています。

さらに、こうした生息域のうちの53.8%が自然保護区で占められており、推定個体数1,864頭のうちの1,246頭が、その保護区内に生息していることも明らかになりました。

この10年間に進められてきた保護区の増設と管理を強化する取り組みが、今回の結果を導く一つの大きな要因になったと考えられます。

今回の調査の支援にも取り組んできたWWFも、この発表内容はもちろんのこと、その活動にさまざまな保護団体や国際機関が、パートナーとして協力してきた経緯についても、意義と成果があった点を評価しました。

成都市の西方約100キロに位置する巴朗山。ジャイアントパンダの生息地には険峻な山岳地帯が広く含まれる。

食物となるタケが自生する生息域の森

これからの課題と取り組み

しかし同時に、調査の結果は保護活動の困難についても、明らかにするものとなりました。

密猟のような脅威は近年減少しているものの、鉱山や水力発電、観光といった大規模な開発が、生息地や周辺では今も進められており、その影響が懸念されるためです。

実際、保護区外に生息しているとみられる、全推定個体数のうちの33%は、生息地の分断や、個体群が孤立する危機にさらされており、保護のための施策の充実が求められます。

経済開発と環境保全の両立に、今後どう取り組むかが、今後のジャイアントパンダの保全に向けた最大の課題といえるでしょう。

WWFは長年、現地での自然林の保全や保護区の設立、また保護区をコリドー(緑の回廊)でつなぎ、生息域を拡大する取り組みを支援してきました。

現在、中国には67の自然保護区がジャイアントパンダの生息域に設けられていますが、こうしたジャイアントパンダの分布域には、ターキンやキンシコウ、レッサーパンダ、トキなど、多くの絶滅危機種も生息しています。

つまり、その地域の環境保全は、より多くの多様な生物と生態系を守ることにもつながります。

WWFは今後、2025年までを一つの区切りとした保護活動を継続し、地域の持続可能な開発と環境保全を両立した、ジャイアントパンダの生息環境の保全を目指してゆきます。

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